上牧遺跡(読み)かんまきいせき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上牧遺跡」の意味・わかりやすい解説

上牧遺跡
かんまきいせき

大阪府高槻(たかつき)市上牧町にある古代・中世集落遺跡。先行する弥生(やよい)・古墳時代の遺構も検出されている。1971、72年(昭和46、47)の4次にわたり高槻市教育委員会が調査した。遺跡は淀(よど)川に近い低地に立地し、弥生時代後期以降、集落が淀川氾濫(はんらん)原へ進出する状況を示している。古代・中世の掘立て柱建物13、柵(さく)2、井戸9、土壙墓(どこうぼ)2、溝13などが検出されているが、8世紀に属するとみられる4棟以外は、11世紀末から13世紀の間に築かれ、南北朝を境に集落は廃絶し水田化したと考えられる。摂津国の国飼牧(くにがいのまき)に推定されている。この遺跡の出土資料を中心に、橋元久和によって、近畿地方の瓦器椀(がきわん)の地域色と編年案が提示された。

[原口正三]

『原口正三編『高槻市史Ⅵ』(1973・高槻市)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android