下村 脩(読み)シモムラ オサム

化学辞典 第2版 「下村 脩」の解説

下村 脩
シモムラ オサム
Shimomura, Osamu

日本の生化学者・海洋生物学者.京都府福知山市生まれ.1951年長崎医科大学附属薬学専門部卒業.1955年長崎大学薬学部実験実習指導員を務めていたときに,名古屋大学理学部化学科平田義正教授のもとに1年間内地留学し,ウミホタル発光物質(ウミホタルルシフェリン)の結晶化に成功.1960年フルブライト奨学生として渡米(直前に名古屋大学で理学博士),プリンストン大学でオワンクラゲの発光を研究,発光タンパク質のイクオリン(aequorin)と緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein,GFP)を1962年に発見.帰国して名古屋大学水質科学研究所助教授を務めたが(1963~1965年),再び渡米.プリンストン大学上席研究員(1965~1982年),ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員(1982~2001年)やボストン大学医学部特任教授などを務めた.この間,イクオリンとその発光機構を一貫して追及した.GFPは,1990年代に生きた細胞内の特定場所に蛍光をつくり出す標識物質としての用途が開発され,かれはその発見者として2008年にノーベル化学賞を受賞.アメリカ在住だが国籍は日本.旧制中学生として勤労奉仕中に長崎の原爆を体験している.[別用語参照]生物発光

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報