日本大百科全書(ニッポニカ) 「下駄隠し」の意味・わかりやすい解説
下駄隠し
げたかくし
草履(ぞうり)隠しというのも同じで、鬼遊びの一つ。鬼のわからないような場所に、各自の片方の下駄または草履を隠し、皆が隠し終わったときに合図をして鬼に知らせる。鬼はそれを探し、最初にみつかった下駄の持ち主を、次の鬼とする。一般の子供が日常遊ぶときに下駄を履くようになったのは、明治も後半になってからのことであると思われるので、草履隠しの名称のほうが先行するかもしれない。1901年(明治34)に刊行された『日本児童遊戯集』(大田才次郎編)のなかに、下駄隠しや草履隠しのときの歌がいくつか記録されている。鬼が探している間に、あとの者が片足跳びをしたり塀(へい)に寄りかかったりしながらなかば鬼をからかう歌である。次は東京付近で歌われていたもの。
天に一つ、足もとに一つ、こう屋の曲りにまだ一つ
また、自分の草履の隠してあるあたりに鬼が近づいて行くと、
おいらのお蔵(くら)に火がつきそうだ
と大声で歌った。
[丸山久子]