丑時参(読み)うしのときまいり

精選版 日本国語大辞典 「丑時参」の意味・読み・例文・類語

うしのとき‐まいり ‥まゐり【丑時参】

〘名〙
① 悪鬼神の威力をかりて祈願を達成するため、特に丑の時刻(現在の午前二時頃)に神仏に参拝すること。丑の刻参り。丑の時詣で。丑参り。丑三参り。
大乗院寺社雑事記‐康正三年(1457)四月二五日「東南院禅師珍済夜々大仏八幡へ牛時参を被沙汰」
② 人を呪詛(じゅそ)するための呪法。恨む相手をのろい殺すため、鳥居神木に相手をかたどった人形を釘で打ちつけて祈ること。白衣を着て、五徳(鉄輪(かなわ))にろうそくの火を立てて乱れ髪の頭にのせ、胸に鏡をかけた異様な姿をして行なう。釘を打った部分が病み、七日目の満願の日に相手が死ぬと信じられていた。丑の刻参り。丑の時詣で。丑参り。丑三参り。
※光悦本謡曲・鉄輪(1488頃)「御身は都よりうしの時まいりめさるる御方にて渡り候な」
[語誌]元来は祈願成就のため、丑の刻に神仏に参拝することをいったが、後に、嫉妬に駆られた女が、恋敵を呪詛する行為をいうようになった。人形を用いずに、直接鳥居や神木にクギを打ち込む例もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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