デジタル大辞泉 「御方」の意味・読み・例文・類語 お‐かた【▽御方】 1 他人を敬っていう語。「あのお方の紹介なら信用します」→方かた42 貴人の妻妾さいしょうや子女の敬称。「明日は殿ごの砧打きぬたうち、―姫ごも出て打たい」〈松の葉・一〉3 近世、庶民が他人の妻を敬っていう語。「なんと―茶はまだあるまい」〈浄・孕常盤〉 おん‐かた【御方】 [名]「おおんかた」に同じ。「小松殿、中宮の―に参らせ給ひて」〈平家・三〉[代]二人称の人代名詞。貴人を敬っていう。あなたさま。「―をばまったくおろかに思ひ参らせ候はず」〈平家・七〉 おおん‐かた〔おほん‐〕【▽御方】 1 貴人の住居。お住まい。「父母、北の―になむ住み給ひける」〈宇津保・藤原の君〉2 貴人、特に、貴婦人・姫君の敬称。「―(=中君)は、とみにも見給はず」〈源・総角〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「御方」の意味・読み・例文・類語 お‐かた【御方】 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )① 人を敬っていう語。「かた」よりも敬意が高い。[初出の実例]「それにみえさせ給ふは、いかやうなる御かたにて候ぞ」(出典:虎明本狂言・夷大黒(室町末‐近世初))② 貴人の妻妾や子女の部屋。また、その妻妾や子女を敬っていう語。[初出の実例]「二棟御方 将軍家御寵。号二大宮殿一」(出典:吾妻鏡‐延応元年(1239)八月八日)③ 中流以下で、他人の妻を呼ぶ語。近世では農家や一般町家の人妻に対していったが、青森県や九州地方では、今でも格式ある家の主婦に対していう。また、宮城・山形県や関東・甲信地方では、自分の妻のことを他にいう場合や陰口に使う。[初出の実例]「頭巾は三条唐物屋甚吉殿のおかたより、赤き錦を百日ばかりの其内に心を尽し縫ひ立て」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)上)④ おもに、女が男を深い敬意をこめていう語。遊里で多く用いた。[初出の実例]「奥にござる民彌様は、傾城狂ひをなされたお方なれば」(出典:歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)上)⑤ 舅(しゅうと)と同居している場合の嫁の部屋。〔日葡辞書(1603‐04)〕⑥ 貴人の家で部屋住みの息子の称(随・貞丈雑記(1784頃))。⑦ 村の旧家の称。「岡田」などと書き、屋号、通称、姓になったものも多い。 おん‐かた【御方】 ( 「おん」は接頭語 )[ 1 ] 〘 名詞 〙① 貴人の住居、居室の敬称。おすまい。[初出の実例]「うちわらひ給て、御かたにおはして」(出典:落窪物語(10C後)一)② 住居の意から転じて、その住人、すなわち貴人の敬称。男に対しても女に対しても用いたが、特に貴婦人、姫君に対する敬称として用いた例が多い。多く、「…の御方」の形で用いる。[初出の実例]「西のおとどは女御の君の御方、〈略〉すみ給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)[ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。貴人に対して用いる。あなたさま。[初出の実例]「『御かたこそ、此の花はいかが御覧ずる』と言へば」(出典:堤中納言物語(11C中‐13C頃)はなだの女御) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by