改訂新版 世界大百科事典 「両江」の意味・わかりやすい解説
両江 (りょうこう)
Liǎng jiāng
中国の歴史的広域地名。明代には省(正式には承宣布政使司と称した)より大きな行政管轄域には定制がなかったが,清になると1省より2,3省を管轄する上級職として総督が置かれた。両江も湖広,両広などと同じく総督の置かれた領域で,明の南直隷を改めた江南省と,江西省を合して称した。のち江南省が江蘇と安徽に分かれてからは,3省を称した。両江は中国で最も経済的に重要な地域を含み,また清末からは外国との接触の前線となり,両江総督は両淮(わい)塩政から外国との通商事務までをとり扱い,直隷総督と並ぶ重職で,李鴻章や曾国藩が歴任した。総督の駐在地は南京であったが,通商の交渉が上海で行われるようになると,両江総督が欽差大臣として上海に駐在して事にあたり,南洋通商大臣と呼ばれた。
執筆者:秋山 元秀
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