朝日日本歴史人物事典 「並木翁輔」の解説
並木翁輔
江戸中期,上方の歌舞伎狂言・浄瑠璃作者。前名未詳,一説に並木柳輔,並木素柳。後名2代目並木千柳。初代並木正三門下。「寛延より寛政迄」(『戯財録』)の50年の長きに渡って大坂で活躍。立作者としての作品は少ないが,歌舞伎では初代並木正三,竹田治蔵,並木十輔,初代並木五瓶らと,浄瑠璃では若竹笛躬,中村魚眼らと多く合作した。正三の伝記『並木正三一代噺』(1785)の著者ともされる。また俳諧点者として江戸大坂を往来した風流人でもあった。のち今宮へ閑居。なお歌舞伎作法を記した『戯財録』(1801)の著者入我亭我入については諸説あるが,翁輔であるとの説も検討に値する。
(上野典子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報