国指定史跡ガイド 「丸岡藩砲台跡」の解説
まるおかはんほうだいあと【丸岡藩砲台跡】
福井県坂井市三国町にある砲台跡。旧三国町市街から北に4kmの加越(かえつ)台地から日本海に突き出た小半島の標高30mの台地上にある。幕末の日本海域における海防のありようを示す遺跡として、1930年(昭和5)に国の史跡に指定された。幕末には外国船の来航が相次ぎ、幕府は緊急な海防の必要性を認め諸藩にその任を命じた。1852年(嘉永5)、丸岡藩は沿岸を警備するため砲台を築いたが、海岸からわずか数mの所に土塁と5個の砲眼が遺存している。土塁は東西約33m、幅6m、高さは1.8mで、弧状に配置されている。砲眼はすべて海を向いて約4.5m間隔で設けられており、原形をこれだけよく留める砲台跡は全国的にも貴重である。設計は幕末の著名な軍学者・高島秋帆(しゅうはん)の門人だった藩の砲術家・栗原源左衛門らだが、丸岡藩の財政は窮乏をきわめたという。JR北陸本線芦原(あわら)温泉駅から京福バス「梶浦」下車、徒歩約10分。