化学辞典 第2版 「主分散」の解説
主分散
シュブンサン
primary dispersion
α分散ともいう.弾性率,誘電率などの物質定数が,観測に用いる振動数(時間)によって変化することを一般に分散といい,鎖状高分子のミクロブラウン運動の緩和現象に伴う分散を主分散という.これに対し,ほかの分散を副分散という.無定形高分子の粘弾性では,主分散が副分散に比較していちじるしく大きいので,このようによばれる.ガラス転移温度以上で発現し,緩和時間の温度依存性は,時間温度換算則が成立する.結晶性高分子では,非晶部分にしかミクロブラウン運動は起こらないので,主分散にあたるものは一般に小さくて観測できないが,結晶内外の分子運動にもとづく結晶分散が観測できる場合がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報