弾性率(読み)ダンセイリツ

百科事典マイペディアの解説

弾性率【だんせいりつ】

弾性定数,弾性係数とも。弾性体の応力とひずみの比。比例限度内では応力とひずみは比例する(フックの法則)ので弾性率は物質によってきまる。応力とひずみの種類により,ヤング率剛性率体積弾性率ポアソン比等がある。→弾性弾性波
→関連項目弾性限度定数引張試験

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

弾性率
だんせいりつ

物体に外力を加えて変形させるとき、外力によって生ずる応力と、変形によって生ずるひずみとは、変形があまり大きくない範囲では比例する(フックの法則)。このときの比例定数を弾性率という。すなわち、弾性率C
  C=(応力)/(ひずみ)
で表される。ひずみや応力にいろいろの成分があるので、一般には弾性率もたくさんの成分をもった量である。つまり、ひずみ、応力がともに2階テンソル量なので、弾性率は4階テンソル量となる。もっとも簡単な等方的弾性体でも、独立な弾性率は体積弾性率とずり弾性率の二つがある。流体(液体、気体)ではずり弾性率はゼロで、体積弾性率(あるいはその逆数の圧縮率)だけを考えればよい。物体を一方向に引き伸ばしたときの張力と伸びひずみとの比を伸び弾性率、またはヤング率という。

 等方性物体におけるヤング率E、ずり弾性率G、体積弾性率K、圧縮率β、ポアソン比σの間の関係式は

のようになる。

[和田八三久・西 敏夫]

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精選版 日本国語大辞典の解説

だんせい‐りつ【弾性率】

〘名〙 弾性限界内で物体に力を加えて変形させるとき、その応力のひずみに対する比。変形の種類により、ヤング率、ポアソン比、体積弾性率、剛性率などがある。弾性係数。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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化学辞典 第2版の解説

弾性率
ダンセイリツ
elastic modulus, modulus of elasticity

応力をσ,ひずみをγとするとき,σ/γを弾性率という.ひずみの形式により次の弾性率が定義される.すなわち,単純伸長変形に対しては,伸び弾性率またはヤング率E,単純ずり変形に対しては,せん断弾性率または剛性率G,静水圧による体積変形に対しては,体積弾性率Bが定義される.一般の変形においては,応力テンソルの成分とひずみテンソルの成分の間に一次関係があるとき,これらを関係づけるテンソルを弾性率テンソルといい,上述の弾性率もこのテンソル成分で表すことができる.応力とひずみの比例するフックの弾性体では弾性率は定数であるが,弾性ゴムの弾性率はひずみに依存する.等方性のフックの弾性体においては,

EG + 3EB - 9GB = 0

の関係がある.粘弾性体ではσ/γとして定義された弾性率は時間依存性をもつ.応力緩和における弾性率を緩和弾性率,振動的ひずみ(応力)に対する弾性率の複素表示を複素弾性率という.前者は時間に,後者は周波数に依存する.

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世界大百科事典内の弾性率の言及

【弾性係数】より

…固体のひずみと応力は,ひずみが小さいときはほぼ比例関係にある(フックの法則)。この比例係数を弾性係数,または弾性率modulus of elasticityという。応力の成分,ひずみの成分はそれぞれ6個あるので,弾性係数の数は36個あることになるが,応力,ひずみは対称テンソルであるから,独立な係数の数はもっとも一般的な場合21個である。…

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