朝日日本歴史人物事典 「丿観」の解説
丿観
安土桃山時代の侘び茶人。京都上京坂本屋の出身と伝える。武野紹鴎門下で山科に住んで,常に手取釜ひとつで飯を炊き,茶を点て,利休をその茶に招じたこともあったらしい。天正15(1587)年,豊臣秀吉が北野神社で行った大茶の湯には朱塗りの大傘を用いて茶を呈して賞賛を浴び,秀吉から諸役を免除された。晩年には薩摩に下ったともいわれるが,詳細は不明。世俗との交わりを避けた,隠逸の茶人の代表的な人物として長く語り伝えられた。<参考文献>『茶道全集』5巻
(谷端昭夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報