国指定史跡ガイド 「九谷磁器窯跡」の解説
くたにじきかまあと【九谷磁器窯跡】
石川県加賀市山中温泉九谷町にある窯跡。温泉街から大聖寺(だいしょうじ)川沿いに約13kmさかのぼったところに位置する。連房式登り窯2基と藩政時代末期の吉田屋窯の3基からなる近世磁器窯跡で、九谷焼発祥地として1979年(昭和54)に国の史跡に指定され、2005年(平成17)には、山代温泉にある再興九谷窯を含めて追加指定を受けた。1号窯跡は推定長35m、2号窯跡は全長13mで、17世紀に造られた連房式登り窯。吉田屋窯跡は推定長16mで、19世紀に造られた窯とみられている。2基の窯跡および物原(陶片の捨て場)からは磁器、陶器片や窯道具が多量に出土し、磁器のなかでは白磁、青磁の生産が主体であったことがわかる。1号窯物原からは染付陶磁片がまとまってみられ、佐賀県有田地方に続いて、日本における磁器窯創始のころの様相を示している。現在は保存のため埋め戻されており、斜面にわずかながら3基の窯跡の窪地がみられ、再興九谷窯は、九谷焼窯跡展示館を併設している。JR北陸本線加賀温泉駅から加賀温泉バス「山中温泉」下車、徒歩すぐ。吉田屋窯跡へは、同バス「山代温泉東口」下車、徒歩約2分。