写真の原理を利用して印刷用の版をつくること。版式は凸版、平版、凹版、孔版いずれにも応用される。凸版の場合は線画凸版や写真版、平版の場合は卵白平版(感光剤として卵の白身に重クロム酸などを加えた液を、基材に塗って版とするもの)やPS版、コロタイプ、凹版の場合はグラビア、孔版の場合は写真孔版などがある。各版式によって工程は幾分異なるが、文字や写真、あるいは絵画の原稿を撮影し、ネガチブかポジチブをつくり、あらかじめ感光液を塗った金属板に焼き付けて画像をつくる。凸版形式にする場合は画像部以外の部分を腐食して低くする。平版形式の場合は画像部に脂肪性インキを受け付ける性質にし、凹版(グラビア)の場合は画像部分を腐食してインキが詰まるように低くする。このような技術は19世紀の中ごろから末にかけて写真術の発達とともにしだいに完成されたが、とくに金属板に塗布する感光液である重クロム酸コロイドの発見が大きな役割を演じた。1980年代に入って、広義の写真製版のうち、焼付け用のネガチブやポジチブをつくる前段階にはエレクトロニクスが利用されるようになり、後段階の焼付け処理以後では、重クロム酸コロイドの感光液が感光性樹脂(ポリケイ皮酸ビニルなど)にかわった。また、写真製版の技術は微小な集積回路製造に応用されている。
[山本隆太郎]
『光陽社編『演習写真製版の基礎知識1~6』(1976~1981・印刷学会出版部)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
写真法を用いて印刷版を作製することをいう.印刷版式には大別して,平版,凸版,凹版(グラビア)があり,それぞれ異なる写真版を作製する.連続階調をもつ原稿の複製には,平版,凸版方式で光学濃度を網点という面積の大小に変調し,また凹版方式(グラビア)では印刷版作製時にインキ保有量の多少に対応する凹部の深さに変調して,再現する.色相原稿の複製では写真的に基本原色に分解し,それぞれの基本色相に対応する印刷版を作製し,対応する色相インキを用いて印刷して複製する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…日本ではあまり行われないが,原版から電型(鉛,蠟,プラスチックなどで原版から型取りした凹凸反対になっている型)をとり,電気分解を利用して電型の上に金属を電着させて作る電鋳版(電気版,電胎版ともいう)も機械的な製版方法といえる。
[写真的方法による製版]
いわゆる写真製版photomechanical processと呼ばれているもので,活版とその複製版を除いてほとんどがこの方法によっている。ひとくちにいえば光に感じて性質を変える物質をうまく利用して版を作るのが写真製版であって,4版式,つまり凸版,平版,凹版,孔版いずれにも利用される。…
※「写真製版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加