二液マノメーター(読み)にえきマノメーター(その他表記)two-liquid manometer

改訂新版 世界大百科事典 「二液マノメーター」の意味・わかりやすい解説

二液マノメーター (にえきマノメーター)
two-liquid manometer

液柱型圧力計の一種で,密度の差が小さい2種の液体を入れたU字管型連通管の液柱差を利用して,微小な圧力差を測る計器細管部に比べて大きな断面積の液だめを上部にもつU字管内に,互いに混合しないで,かつ密度の異なる2種の液体を両側で同じ高さになるように入れる(図)。いま液だめの両側にp1p2の圧力を加えると,液柱の重量が圧力差とつり合うまで2液の境界面が上下に移動する。このときの境界面の高さの差をhとすれば,圧力差は,

 p1p2={(ρ1-ρ2)+(a/A)ρ2hg

で与えられる。ρ1,ρ2は2液のそれぞれの密度,aAは細管と液だめのそれぞれの断面積,gは重力加速度である。p1p2において2液の境界面に高さの差があるときには,各境界面の移動距離の和を上式のhにとればよい。(a/A)ρ2は(ρ1-ρ2)に比べ小さいから,この式は(ρ1-ρ2)に等しい密度をもつ1液体を液柱型圧力計に用いた場合の式に近似し,密度の小さい液体を用いて液柱差を拡大させたのと同じ効果になる。密度差が小さいほど感度がよい。2液の境界面が鮮明であることが必要で,液体には水とクロロホルム(密度1.489g/cm3,20℃),または水とトルエン(密度0.884g/cm3,20℃)などが用いられる。測定範囲は5~300Pa(水柱0.5~30mm)である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の二液マノメーターの言及

【微圧計】より

…液柱差型は,微小差圧の測定用に液柱型圧力計を変形させたもので,微小な液面の動きを拡大,指示してその変位を直接測定するものと,液面の一方を元の位置に戻す操作を行う零位法に基づいて液面差を精密に測定するものとがある。前者には,傾斜した液柱により液面の変位を拡大する傾斜管圧力計,密度差の小さい2種の液体を用いる二液マノメーター,垂直方向の液面の変位を水平管内の気泡の変位で読むロバーツ圧力計などがあり,後者には中央でわずかに曲がった曲管を傾けて液面の一方を元に戻す圧力水準器,液槽の一方をマイクロメーターで微小変位させて他方を零位置に戻すミニメーター型ゲージ,計器全体を傾斜させて管端における2液の境界面の形状,または一方の液面を零位にするチャトックゲージ,またはレーリーゲージ,ドラムを液槽内の液面に沈めて傾斜管内の液面を零位に保つ排水型ゲージなどがある。現在では,これらの型式の微圧計が実際に用いられることは少ない。…

※「二液マノメーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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