感度(読み)かんど

精選版 日本国語大辞典 「感度」の意味・読み・例文・類語

かん‐ど【感度】

〘名〙
① 刺激に対し感ずる度合、程度。
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「繊細な感度をもつ少女達の精神を」
② 計測用などの器械で、その敏感さの尺度。
※まんだん読本(1932)漫劇「ロボット」〈松浦翠波〉「ロボットいきなり小山の頭を撫でる。『なかなか感度(カンド)が鋭いなア』」
フィルムラジオ、テレビなどが、光や電波などに感ずる度合。
※旅‐昭和五年(1930)八月号・乗心地を聴く〈三輪真吉〉「東京放送局いよいよ感度(カンド)良好となる」
火薬類で爆発反応を起こさせる衝撃、摩擦等の機械的作用に対する抵抗の大小

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デジタル大辞泉 「感度」の意味・読み・例文・類語

かん‐ど【感度】

他からの刺激に感じる度合い・程度。「感度の鋭い人」
受信機・測定器などが、電波電流などを感じる度合い。「ラジオの感度が悪い」
写真フィルムなどの感光材料が光に反応する度合い。数値で表し、制定機関によって、現在多く使用されるISOイソ感度や、ASAアサ感度JISジス感度などがある。「高感度フィルム」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「感度」の意味・わかりやすい解説

感度
かんど

一般に装置、システム、生物体などにおいて、入力刺激に応じた出力の能力をいい、とくに計器や測定系では性能を示す大きな要素の一つとなっている。計器または測定系における感度とは、一定の指示値の変化に対する測定対象の変化、または計器が検知することのできる最小の量、または最小の変化量をいう。JIS(ジス)(日本産業規格)では、「(測定システムの)感度」を「測定される量の値の変化に対する、測定システムの指示値の変化の比率」と定義し、注記として、「測定システムの感度は、測定される量の値に依存することがある」「測定される量の値の変化は、分解能より大きい」と記載している(JIS Z 8103)。

 以上のほか、写真材料が光、放射線粒子線などに感ずる能力や、火薬類の爆発しやすさ、あるいは爆発させるに要するエネルギーの大小を表すものなど、感度を表現する例はきわめて多岐にわたっている。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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改訂新版 世界大百科事典 「感度」の意味・わかりやすい解説

感度 (かんど)
sensitivity

ラジオやフィルムの感度などのように,機器あるいは物質などが外部から受ける信号,あるいは刺激に感ずる度合をいう。計測器の場合には,測定しようとする量,すなわち測定量の変化を感ずる度合で,感度係数,振れ係数または感度限界によって定量的に表示される。感度係数は測定量の変化に対する計測器の指示値の変化の比,振れ係数はその逆数で,例えば1Vだけ電圧を増したときに指針が2cmだけ振れる電圧記録計の感度係数は2cm/V,振れ係数は0.5V/cmである。また感度限界は計測器が確かに検知できる最小の測定量の変化の大きさで,検知の限界が例えば0.1mgのてんびんであれば感度限界0.1mgと表す。なお,てんびんやはかりでは,検知したかどうかの判断の不確かさを避けるため,目盛の最小単位やその1/2など一定の変化を生じさせる質量の値を感量と呼び,感度限界の一種として用いている。
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カメラマン写真用語辞典 「感度」の解説

感度

 もともとはフィルムが光に感じる度合いを示したもので、標準化されたのはASA(アメリカ規格協会)の定めたものだった。それがJIS(日本工業規格)として日本でも標準化された。しかし、ドイツにはDIN(ドイツ工業規格)があり、また旧ソ連では独自のGOST(ゴスト)という感度表記もあった。のちにISO(国際標準化機構)が国際規格として、ASAおよびDINに準拠した規格を決めた。これがISO感度で、現在でもフィルムではたとえばISO100/21°のように表記する。なお、デジタルカメラの撮像感度は便宜的なもので、ISO感度で表記してあるが、フィルムの感度とは必ずしも一致しない。 → ISO感度 参照

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百科事典マイペディア 「感度」の意味・わかりやすい解説

感度【かんど】

計測器の検知できる最小の量もしくは変化量,また被測定量の変化に対する応答の大きさの割合。普通は前者の意に用いる。なお受信機,感光材料などの性能を表すのにも使用。
→関連項目計器

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「感度」の意味・わかりやすい解説

感度
かんど
sensitivity; sensibility; sensitiveness

測定器または受信機などの測定量 (入力) の微小変化に対する指示量 (出力) の変化の割合。または,検知可能な指示量を与える最小の測定量。前者は測定量を区別する程度の鋭敏さを表わす量,後者は感じる程度の鋭敏さを表わす量であるから,両者は区別されなければならないが,混用されることが多い。てんびんの感度には前者を用い,受信機には後者を用いることが多い。

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化学辞典 第2版 「感度」の解説

感度
カンド
sensitivity

】物理・化学的測定量の変化に対する測定器の目盛の変化の割合をいう.または,測定器などの機能による,識別可能な信号の最小量をいう.また,測定量のフルスケールにおける百分率で表示することがある.測定器が同一でも,測定量のレンジ(範囲)によって変化する.【】写真の感度規格をASAという.

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「感度」の解説

感度

光に対する敏感さの尺度。カメラのフィルムではISOという単位が使用されており、数字が高いほど感度が高い。デジタルカメラの場合は、CCDがフィルム相当の役割をはたしており、フィルム同様に、ISOで表わされる。

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とっさの日本語便利帳 「感度」の解説

感度

デジタルカメラなどで、性能を測る重要な尺度。暗い場面でもきれいに撮影できることを称して「感度が高い」という。専門的には「入力信号のレベルにより出力信号がどのように影響を受けるかを表す尺度」。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

栄養・生化学辞典 「感度」の解説

感度

 鋭敏度ともいう.物質を定量する場合に,ある機器で検出できる最小量.

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世界大百科事典(旧版)内の感度の言及

【写真感度】より

…感光度,あるいは単に感度ということもある。写真感光材料が光や放射線に対して感光する度合をいう。…

※「感度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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