五月蠅なす(読み)サバエナス

デジタル大辞泉 「五月蠅なす」の意味・読み・例文・類語

さばえ‐なす〔さばへ‐〕【五×蠅なす】

[枕]さばえのように、の意で、「騒く」「荒ぶる」にかかる。
「―騒く子ども打棄うつてては」〈・八九七〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「五月蠅なす」の意味・読み・例文・類語

さばえ‐なすさばへ‥【五月蠅なす】

  1. ( 「なす」は「のように」の意の接尾語 )
  2. [ 1 ] 〘 副詞 〙 陰暦五月ごろの蠅のようにの意で、騒がしく、煩わしいさまにいう。邪神の形容として用いる。
    1. [初出の実例]「是に万の神の声は狭蠅那須(さばへナス)満ち、万の妖(わざはひ)悉に発(おこ)りき」(出典古事記(712)上)
    2. 「夜は若熛火(ほへのへもころ)喧響(おとな)ひ、昼は如五月蠅(サハヘナス)沸き騰る」(出典:日本書紀(720)神代下(鴨脚本訓))
  3. [ 2 ] 「騒ぐ」「荒ぶ」などにかかる。
    1. [初出の実例]「ことことは 死ななと思へど 五月蠅奈周(さばへナス) さわく子どもを うつてては 死には知らず」(出典:万葉集(8C後)五・八九七)

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