井上金太郎(読み)イノウエ キンタロウ

20世紀日本人名事典 「井上金太郎」の解説

井上 金太郎
イノウエ キンタロウ

大正・昭和期の映画監督



生年
明治34(1901)年10月15日

没年
昭和29(1954)年1月29日

出生地
東京・深川

経歴
大正9年谷崎潤一郎が大正活映の顧問となり、その時の俳優募集に合格。10年谷崎がシナリオを書いた栗原トーマス監督の「蛇性の淫」に脇役出演。同年京都撮影所に移り、マキノ教育映画「一太郎やあい」で主役。主役出演数本で監督に転じ、14年阪妻プロで「異人娘と武士」を作り話題となった。15年月形龍之介主演の「転落」、昭和2年月形主演の「道中秘話」、ともに優れた時代劇に数えられた。これは内田吐夢が中国から帰国して戦後第1作とした「血槍富士」の原作。4年月形プロで「剣士沖田総司」、千恵蔵プロで「宮本武蔵」、12年松竹下加茂で「やらずの雨」、17年松竹大船「すみだ川」、戦後23年松竹京都で「かりそめの恋」などを作った。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の井上金太郎の言及

【血槍富士】より

…抑揚のきいた演出と権八役の片岡千恵蔵の名演とによって,前半,酒乱ながらも人のいい若殿に対する権八の思いやりがあたたかく描き出され,ラストは一転,えんえん長い凄絶(せいぜつ)な死闘のなか,槍をふるって闘う権八の憤怒が,下層の人間,追いつめられた者のエネルギーの爆発としてくりひろげられる。井上金太郎原作・脚色・監督,月形竜之介主演《道中秘記》(1927)の映画化で,第2次世界大戦中から9年間の中国生活を経て,1953年に帰国した内田吐夢の戦後第1作。なお,月形竜之介がこの作品に,かつて娘を売った男に扮して出演している。…

※「井上金太郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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