化学辞典 第2版 「亜鉛めっき鋼板」の解説
亜鉛めっき鋼板
アエンメッキコウハン
galvanized sheet iron
トタン,亜鉛鉄板ともいう.炭素量0.1% 以下の薄い軟鋼板の表面に亜鉛をめっきして,すぐれた耐食性を与えたもの.一定の寸法に切断した切板を用いてフラックス,鉛,亜鉛の各溶融槽を順次通過させて亜鉛めっきを行う方法と,圧延コイルを巻きもどしながら高速度で溶融亜鉛槽を通過させる連続亜鉛めっきがある.亜鉛めっき鋼板は酸には弱いが,中性に近い環境ではすぐれた耐食性を示す.このような環境では,ZnはFeより耐食性がよく,めっきの寿命はめっきの厚さによって決まると考えてよいが,作業方法によってその厚さを約8 μm から100 μm 程度まで広い範囲に変えることができる.自動車の車体用から屋根板をはじめとする建築材料,ガソリン缶,洗濯機の部品など各方面にわたって用いられている.なお,亜鉛めっき鋼板の表面に見られる花模様は,亜鉛の結晶でスパングルとよばれ,耐食性にはとくに関係はないが,商品価値を高めるためにこれを大きく美しく生じさせるように工夫されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報