フラックス(英語表記)Flaccus, Aulus Avillius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フラックス」の意味・わかりやすい解説

フラックス
Flaccus, Marcus Fulvius

前2世紀頃のローマ政治家。 T.グラックス (→グラックス兄弟 ) の支持者,前 130年以来の農地改革の実施者。公有地をイタリア人に提供する提案が阻止されると,イタリア人にローマ市民権を与えることによって土地取得の道を開こうとし,「イタリア問題」をローマの政策に導入した。閥族派 (オプチマテス ) の反対を排して,前 125年執政官 (コンスル ) に選ばれたが,元老院はサルウィ人に攻撃されていたマッシリアの援助に彼を派遣した。前 123年凱旋し,G.グラックスの政策の推進を助けるため,前 122年護民官 (トリブヌス・プレビス ) 職を固守したが,グラックスとともに敗死した。

フラックス
flux

溶解融剤,電気・液体・エネルギーなどの流れなどの意味があり,利用分野によって,溶剤,融剤,易溶成分,溶融成分などという。使用目的によって分けると次のようなものがある。 (1) 試料を溶けやすい形に変えるために加えるフラックス (硫酸水素ナトリウム炭酸ナトリウムなど) 。 (2) 冶金スラグを生じさせるために加える物質 (石灰石,蛍石など) 。 (3) 窯業融解性や焼結性をよくしたり,彩色するための顔料を融着させたり,ガラス質の融解を助けるために加える物質 (種々のフッ化物など) 。 (4) 溶融メッキ,アルミニウム精錬,エレクトロスラグ溶解に用いるもの (塩化物,フッ化物など) 。 (5) 溶接時におけるスラグ生成と金属の酸化防止に用いる物質 (ホウ砂,水ガラス,リン酸塩,塩化物など) 。 (6) 単結晶の合成 (溶融法) 用フラックス (フッ化物) 。

フラックス
Flaccus, Aulus Avillius

古代ローマの政治家。エジプト総督 (32~38) としてアレクサンドリアのギリシア系市民に迎合して反ユダヤ人政策をとったため,同市でユダヤ人迫害が起った。しかし 38年予期せずに逮捕され,ローマで陰謀かどで断罪,エーゲ海上のアンドロス島に流刑,のちに処刑された。アレクサンドリアのユダヤ人哲学者フィロンは彼を弾劾する論著を記した。

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