交換過程(読み)こうかんかてい(英語表記)Austauschprozess ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ)「交換過程」の解説

交換過程
こうかんかてい
Austauschprozess ドイツ語

商品は使用価値と価値との2要因の統一体である。このうち使用価値は他人にとっての使用価値であり、その商品所有者にとっては直接的な使用価値をもっていない。したがって商品所有者は、その商品を彼が必要とする使用価値をもつ商品と引き換えに譲渡しようとしている。このようにすべての商品は、その所有者にとっては非使用価値であり、その非所有者にとっては使用価値であるがゆえに、諸商品は全面的に持ち手を変換しあわなければならない。この諸商品の全面的な持ち手変換が交換過程である。交換過程において商品は使用価値として実現されると同時に価値として実現されなければならない。商品所有者はだれでも、自分の欲望を満たす使用価値をもつ他の商品と引き換えにのみ自分の商品を譲渡しようとするのと同時に、他方で彼は、自分の商品を価値として実現しようとする。つまり、同じ価値をもつ彼の欲する他の商品のいずれとでも、彼自身の商品が他の商品の所有者にとって使用価値をもつととにかかわらず、交換しようとする。換言すれば、どの商品所有者も他人の商品に自分の商品の特殊的等価物の役割を押し付けると同時に、自分の商品を他のすべての商品の一般的等価物たらしめようとしている。だが、すべての商品所有者が同じことをしようとするのであるから、どの商品も一般的等価物たりえず、したがって諸商品は、それらが価値として等置されえず、また価値の大きさが比較されえないことになる。この矛盾は、ある特定の商品を社会的行為として商品世界から排除して一般的等価物たらしめることによって解決される。諸商品はこの商品で価値を表現することによって相互に価値として連関されうるのである。一般的等価物たることがその商品の独自の社会的機能となったとき、その商品は貨幣となる。このように貨幣は交換過程の必然的な産物である。貨幣が発生すると、商品所有者はまず自己の商品を販売して貨幣に転化し、その貨幣によって自分が欲する商品を購買するようになる。

[二瓶 敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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