日本大百科全書(ニッポニカ) 「京都守護職始末」の意味・わかりやすい解説
京都守護職始末
きょうとしゅごしょくしまつ
記録、1冊。1862年(文久2)会津藩主松平容保(かたもり)が京都守護職についてから鳥羽(とば)・伏見(ふしみ)の戦いまでを史料を引用しつつ叙述したもの。著者は旧会津藩重臣山川浩(ひろし)となっているが、実際に筆をとったのは弟の山川健次郎(のち東京帝大総長。物理学)とされている。文久(ぶんきゅう)三年八月十八日の政変への孝明(こうめい)天皇の関与、倒幕の密勅の合法性への疑義などを述べたことで知られ、薩長(さっちょう)中心の維新史と異なる史観を提起した。初版1911年(明治44)。
[井上勝生]
『山川浩著、遠山茂樹校注、金子光晴訳『京都守護職始末』全2冊(平凡社・東洋文庫)』