人権理事会(読み)じんけんりじかい(その他表記)Human Rights Council

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人権理事会」の意味・わかりやすい解説

人権理事会
じんけんりじかい
Human Rights Council

人権(→基本的人権)と基本的自由の促進と擁護を主導する,国際連合の主要政府間機関。2006年国連総会で採決され,総会の下部組織として設立。1946年に経済社会理事会の機能別委員会の一つとして設立された国連人権委員会を前身とする。人権と基本的自由の保護・促進およびそのための加盟国への勧告,大規模かつ組織的な侵害を含む人権侵害状況への対処および勧告などを任務とする。理事国は 47ヵ国で,国連総会で全加盟国の絶対過半数により選出される。その地理的配分はアジア 13,アフリカ 13,ラテンアメリカ・カリブ海域 8,東ヨーロッパ 6,西ヨーロッパおよびその他 7となっている。任期は 3年で再選可能だが,連続 2期以上は務めることができない。理事会は少なくとも年に 3回,10週間以上の会期で開かれる。2008年4月から普遍的・定期的レビュー UPR; Universal Periodic Reviewの制度が導入され,全国連加盟国における人権の状況を審査する枠組みが盛り込まれた。事務局所在地はスイスジュネーブにある国連ヨーロッパ本部。

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知恵蔵 「人権理事会」の解説

人権理事会

アナン国連事務総長の2005年3月の国連改革に関する報告書を契機に、従来、人権侵害国がメンバーとなり、政治的傾向を強め人権問題処理に支障を生じ批判されていた国連人権委員会の改組が具体的問題となった。総会は06年3月15日、賛成170、反対4、棄権3で総会の下部常設機関とし人権理事会を創設。同年5月9日、47理事国を任期3年で選出。6月19日に初会合を開いた。地域配分はアフリカ13、アジア13、東欧6、ラテン・アメリカ8、西欧その他7で、会期は年3回計10週間以上。理事国選出にあたっては人権の促進保護に対する貢献度を考慮し、理事国が重大・組織的な人権侵害を継続的に繰り返した場合その権利・特権を停止する等、従来の人権委員会の欠陥を補正し真に人権状況改善の役割を果たすことが期待される。初回の今選出では任期3年、2年、1年の理事国が3分の1ずつくじで決まり、日本は任期2年の理事国となった。創設決議に反対した米国は理事会への協力は表明したが、理事国への立候補は見送った。

(宮崎繁樹 明治大学名誉教授 / 2007年)


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