( [英語] The United Nations の訳語 ) 第二次大戦後、国際平和と安全の維持、諸国間の友好と協力を目的として成立した国際機構。一九四五年設立。本部ニューヨーク。国際連盟の精神を受けつぎ、さらに強化。総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局の六つの主要機関と各種委員会、専門機関などから成る。日本は昭和三一年(一九五六)に加盟。略称UN。国連。
国連憲章The Charter ofthe United Nationsでは,規定の改正のための二つの方法を定めている。一つは通常の修正手続で,修正案が総会の3分の2の多数で採択されたのち,安全保障理事会の5常任理事国を含む全加盟国の3分の2による批准を経て発効する方法である(108条)。もう一つは,国連憲章の再検討のための国連加盟国の会議を開き,そこで憲章の規定の全般的見直しを行い,上記と同じ手続で修正を行うものである(109条)。この規定は,サンフランシスコ会議において,ダンバートン・オークス提案に対する修正案が大国の反対によって容れられなかったことに対する,中小国の不満をなだめるために挿入されたものである。前者の通常の手続による憲章の修正は,これまで3度行われた(安全保障理事会の議席拡大に関する1965年8月31日発効の修正,経済社会理事会の議席増大に関する,68年6月12日,および71年12月20日にそれぞれ発効の2度の修正)。これに対し,憲章再検討の会議は今日まで開かれたことはない。
国際連合(以下国連と略称)は、国際連盟The League of Nationsの後を受けて、第二次世界大戦直後に設立され、国際平和と安全の維持をおもな目的とする、普遍的な平和機構である。一般的には、この名称は、国連憲章Charter of the United Nationsに基づいて設立された国連機構(本部)をさすが、憲章で定められた手続に従ってこの機構と連携関係をもつ専門機関をも含めた国連ファミリー全体をさすこともある。国連は、全世界に開かれ目的が多岐にわたるいわゆる普遍的一般的国際機構であるが、同時に主権国家の集合体であり、各加盟国の主権は平等である。したがって、国連は世界国家のような強い統制力をもった機構ではない。そして、その発足以降における国際環境の進展と変貌(へんぼう)のため、その機構も機能も逐次拡大するとともに著しい変容を遂げてきた。
総会(通常会期)は毎年1回(9月の第3火曜日から)開かれることになっているが、必要があれば特別会期Special Sessionを開くことができる。また、安全保障理事会が国際の平和と安全の維持に関する主要な責任の遂行に失敗したときには、国際の平和と安全を維持しまたは回復するための集団的措置を加盟国に勧告するために、総会の会期中でないときには、安全保障理事会の要請(9理事国の多数によって)か、加盟国の要請(過半数によって)があってから24時間以内に、緊急特別会期Emergency Special Sessionを開くことができる(1950年11月3日に成立した「平和のための結集」決議による)。
〔2〕安全保障理事会Security Council 安全保障理事会は、国際の平和と安全の維持に関して第一次的責任を負う機関である。国連加盟国は、安全保障理事会の決定を受諾し履行しなければならないから、この責任遂行のために、総会よりも強い権限を有しているわけである。理事会は、常任理事国5か国(アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、中国)と非常任理事国(発足当初は6か国。1965年に4か国増員され10か国となった。任期は2年だが引き続いて再選されない)で構成する。また理事会の決定は、手続事項については9理事国(いかなる理事国であってもよい)の賛成投票によって、その他の事項(非手続事項や実質事項とよばれる)の決定については、常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票によって行われる。したがって、実質事項の決定では常任理事国の反対投票は拒否権vetoの行使となる(ただし、常任理事国の棄権や欠席は拒否権の行使と認められないことが慣行として確立している)。
〔3〕経済社会理事会Economic and Social Council 経済社会理事会は、経済的、社会的、文化的、教育的および保健的国際問題について、研究、報告、発議を行い、総会、国連加盟国および関係専門機関に対し勧告を行うことができる。理事会はこのほかに、専門機関Specialized Agenciesとの連携関係を設定する協定を締結し、その活動の調整を行う。また、NGO(非政府組織)と協議を行い、そのための取決めを行う権限をもっている。理事会は54の加盟国で構成する。その決定は、出席しかつ投票する理事国の過半数の賛成によって行われる。
〔4〕信託統治理事会Trusteeship Council 信託統治理事会は、信託統治地域について統治国を監督するための機関である。この理事会は、旧委任統治地域を取り扱うための信託統治協定に基づき活動してきたが、1994年のパラオを最後に管轄下の11の地域すべてが独立したため任務をほぼ終了したものとみなされている。そのため信託統治理事会は手続を改正し、今後は必要が生じた場合のみ会議を開くことになった。
〔5〕国際司法裁判所International Court of Justice 国際司法裁判所は、国際連盟時代の常設国際司法裁判所を引き継いだもので、15人の裁判官(任期9年)よりなる、国連の主要な司法機関である。この裁判所は、国連憲章と不可分の一体をなす国際司法裁判所規程に従ってその任務を行うことになっており、すべての国連加盟国はこの規程の当事国である。また、すべての国連加盟国は、自国が当事者であるいかなる事件においても、その裁判に従わなければならない。なお、総会、安全保障理事会、あるいは、その他の国連機関や専門機関で総会の許可を得るものは、法律問題についてこの裁判所の勧告的意見を求めることができる。この勧告的意見には法的拘束力はない。
〔6〕世界的目標設定の試み 近年国連は、世界を巻き込む形で開発や発展に関する達成目標を設定し、各国の自発的な行動を促進することに力を入れてきた。その代表的なものとして、「ミレニアム開発目標Millennium Development Goals:MDGs」と、「持続可能な開発目標Sustainable Development Goals:SDGs」があげられる。前者は、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された。これは、極度の貧困と飢餓の撲滅など八つの目標をうたった開発分野における国際社会共通の目標であった。事務総長の潘基文は、目標の最終年にあたる2015年7月に「ミレニアム開発目標報告2015」を発表し成果を強調した。
第二次世界大戦後,国際平和と国際協力を目的に設立された国際組織。国際連合の名称は,第二次世界大戦の「連合国」(the United Nations)を用いたものであり,考え方はすでに「連合国宣言」(1942年)に表れているが,国際的平和維持組織設立の構想が正式に国際関係において認められたのは,モスクワ外相会議(43年10月)である。その後,テヘラン会談,ダンバートン・オークス会議,ヤルタ会談をへて,国連憲章制定のサンフランシスコ会議が開催され(45年4~6月),1945年6月26日に国連憲章を採択,同憲章が10月24日に発効し,原加盟国51カ国で発足した。本部はニューヨーク,ヨーロッパ本部がジュネーヴにある。加盟国は,2006年末現在で192カ国。日本は1956年12月18日加盟。国際連合の目的は,国際の平和と安全を維持すること,および,経済的・社会的・文化的国際協力を推進することである。国際連盟では,安全保障の問題を第一次的に考え,国際協力を二次的なものと捉えていたが,国際連合では,両者を同列に捉え,相互に補完するものとした。このような安全保障と国際協力の関係を最も端的に表したのが,国際連合と密接な関係を持つユネスコ憲章の前文の「戦争は人の心の中で生まれるものであるから,人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という表現である。国際連合は,総会,安全保障理事会,経済社会理事会,信託統治理事会,国際司法裁判所,事務局の6機関で構成される。国際連合は,国際の平和と国際協力の広範囲にわたる任務を遂行しているが,最も重要なのは,現在の国際社会で活動する多くの国際組織の中心としての役割を果たしていることである。
1945年に発足した、ニューヨークに本部を置く国際機構。第1次世界大戦後に設立された国際連盟が米ソという2大国を欠き(ソ連は37年に加盟)、主に安全保障に主眼が置かれていたのに比べ、加盟国(2006年8月現在192カ国)の普遍性、活動分野の総合性のいずれをとっても、史上類を見ない代表的な世界的機構。主要な機関として、国連総会、安全保障理事会(安保理)、経済社会理事会、信託統治理事会、事務局、国際司法裁判所(ICJ)を持つが、それ以外にも、女性の地位委員会、社会開発委員会など、数多くの委員会を設けている。公用語は中国、英、仏、ロシア、スペイン語だが、総会、安保理、経済社会理事会ではこれにアラビア語が加わる。現在は世界の大多数の国家が加盟するに至っているが、the United Nationsという名称の起源が第2次世界大戦時の「連合国」だったことからも明らかなように、戦勝国による戦後世界管理機構として構想された。原加盟国は連合国側の51カ国で、機構設立の誓約である国連憲章の調印も、45年6月26日、大戦終了前に行われた。そのためもあって、国連の大きな目的の1つは連盟と同じく平和の維持にあるが、国際経済の諸問題の解決や人権保障の推進などを、平和の建設に密接にかかわるものとして活動目的に掲げている点が連盟と異なる。とはいえ国連は世界政府ではなく、加盟国に命令を発する権限は持たない(例えば総会決議なども、内容的にいかに重要であれ、加盟国が順守の義務を負う国際法規だとはみなされていない)。あくまでも加盟国の主権を尊重した上で、諸国の行動を調和させるための中心となることが目的。国際社会の相互依存度が高まる中、国連の存在はいまや不可欠になっている。ただ、主権平等原則に基づき、総会では国の大小・強弱にかかわらず一国一票制をとっている結果、財政の分担率の低い国々が主導権を握っているとして、一部先進国の間には根強い不満もみられる。2006・2007年分通常予算は38億9000万ドル強。ニューヨークに本部を置く国連本体のほか、ユネスコなどの専門機関、国際原子力機関(IAEA)などの自治機関、ユニセフなどの国連総会設立機関も数多くあり、それらを総称して国連システムと呼ぶ。