仰向(読み)あおむく

精選版 日本国語大辞典 「仰向」の意味・読み・例文・類語

あお‐む・く あふ‥【仰向】

[1] 〘自カ五(四)〙 顔や物などの表面または前面が上をむく。あおぐ。あおのく。⇔うつむくうつぶす
※俳諧・古今俳諧明題集(1763)秋「あふむいて寝るほど多し蟋蟀(きりぎりす)〈一鼠〉」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒あおむける(仰向)
[語誌]一般化したのは近世中期以後か。古くは「あふのく」であり、「あふ」は「仰ぐ」の語根、「のく」も仰ぐ意。「あふぬく」に転じ、さらに「仰向く」と意識されて音変化を起こしたものか。

あお‐むき あふ‥【仰向】

〘名〙 顔や物などの表面や前面が上に向くこと。また、向いていること。あおぬき。あおのき。あおむけ。⇔うつぶせ
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉二「仰向(アホムキ)に倒れたる姿を見るより立どまり」

あお‐む・ける あふ‥【仰向】

〘他カ下一〙 あふむ・く 〘他カ下二〙 顔や物などの表面または前面を上に向ける。上へ向かせる。あおむかせる。あおのける。
太平記(14C後)一「前に置たる瑠璃の盆を打覆て、軈て又引仰向(アフム)けたるを見れば」

あお‐むけ あふ‥【仰向】

〘名〙 顔や物などの表面や前面を上に向けること。あおのけ。⇔うつむけ
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「かるいしへ足をふみかけて、あふむけにどっさりころぶ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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