デジタル大辞泉 「俯」の意味・読み・例文・類語 ふ【俯】[漢字項目] [音]フ(呉)(漢) [訓]うつむくうつむく。身をかがめて下を向く。「俯角・俯瞰ふかん・俯仰・俯伏」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「俯」の意味・読み・例文・類語 うつ‐むき【俯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつむく(俯)」の連用形の名詞化 )① 顔を伏せること。また、そのさま。うつぶき。うつぶし。うつむ。⇔あおむき。[初出の実例]「まな板の上にうつむきにねさせて」(出典:玉塵抄(1563)五三)② 容器などの口を下にすること。また、そのさま。[初出の実例]「仰向きの茶碗と俯向きの茶碗」(出典:物理学と感覚(1917)〈寺田寅彦〉) うつ‐ぶき【俯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつぶく(俯)」の連用形の名詞化 ) =うつむき(俯)[初出の実例]「顛はあをのきにたをるるを云、沛はうつふきにたをるるを云」(出典:応永本論語抄(1420)里仁)「低頭(ウツブキ)になって頻りに何か為て居るではないか」(出典:重右衛門の最後(1902)〈田山花袋〉七) うつ‐ぶせ【俯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつぶせる(俯)」の連用形の名詞化 ) うつぶせること。また、その状態。うつむけ。うっぷせ。⇔仰向き。[初出の実例]「餠入たる折樻を、乍レ入二餠をば一隠レ之。うつぶせに置きたりければ」(出典:古事談(1212‐15頃)一) うつ‐ぶし【俯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつぶす(俯)」の連用形の名詞化 ) 顔を下に向けて伏せるさま。腹ばいになるさま。うつぶせ。うつぶき。[初出の実例]「猛(たけ)く思ひつる宮つこまろも、物に酔(ゑ)ひたる心地して、うつふしに伏せり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初)) うつ‐むけ【俯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつむける(俯)」の連用形の名詞化 ) 顔を下に向けること。また、器物などの口を下に向けること。うつぶけ。うつぶせ。⇔あおむけ。[初出の実例]「うつむけに寝た傾城は手におへず」(出典:雑俳・柳多留‐一四(1779)) うつ‐ぶけ【俯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつぶける(俯)」の連用形の名詞化 ) =うつむけ(俯)[初出の実例]「やや寒み大肌ぬぎてけはう也〈曲水〉 居風呂桶はうつぶけに干す〈芹花〉」(出典:俳諧・俳諧勧進牒(1691)下) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「俯」の読み・字形・画数・意味 俯10画(異体字)15画 [字音] フ[字訓] ふす・うつむく・ねる[説文解字] [字形] 形声声符は府(ふ)。〔説文〕九上に正字をに作り、「頭を低(た)るるなり」という。また「太の卜書に、仰(ふぎやう)の字は此(かく)の如くす」とあって、卜法に関する字であるらしい。兆は卜兆、頁(けつ)は儀礼の際の儀容を示す形であるから、おそらく門などで卜するとき、その卜兆を審視する意の字であろう。ゆえに俯視の意となる。〔説文〕にまた一体として、俛を録する。俯も列国期以後にみえる字であるが、〔説文〕に収めていない。[訓義]1. ふす、うつむく、かがむ。2. ねる、かくれる、身をふせる。[古辞書の訓]〔名義抄〕俯 フシアフグ・フス・フシドコロ・イタル・タル・ハジメ/俯仰 ワレニモアラズ・フシアフグ 〔字鏡集〕俯 タル・ツキテ・ツハヒラカ・アマネク・フス・ツク・ワク・アタ・クダル・フシドコロ・ハジメ・シリヘ[語系]俯(俛・)pioは同声。pioも同声の字で、俯したままで仰ぐことのできない病をいう。[熟語]俯允▶・俯傴▶・俯映▶・俯鑒▶・俯瞰▶・俯窺▶・俯泣▶・俯仰▶・俯刑▶・俯査▶・俯察▶・俯思▶・俯視▶・俯首▶・俯拾▶・俯就▶・俯准▶・俯順▶・俯眺▶・俯暢▶・俯聴▶・俯念▶・俯拝▶・俯伏▶・俯▶・俯覧▶・俯臨▶・俯僂▶・俯聆▶[下接語]畏俯・陰俯・仰俯・興俯・退俯・拝俯・卑俯・容俯 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報