企業の管理部門の海外アウトソース
BRICsを中心とした新興国への日本企業による生産拠点の移転は、一層の低賃金・低コスト化を目指してグローバル化しているが、ここにきて、新興国の人材の質も向上し、語学面の障壁を始めとしたインフラが整備されつつあることを受け、人事・総務といった企業の管理部門を海外にアウトソースする動きが活発化している。既に多国籍企業のなかには、総務はマレーシア、人事はフィリピン、購買は中国といった国際分業体制を構築しているところもある。 日本企業の海外への業務アウトソースは、まず、生産性が低く、パターン化・マニュアル化しやすい業務について、低賃金の新興国に移転させるのが一般的である。コールセンターやバックオフィス業務など、事務の仕事を海外にアウトソースした企業は2500社を超える。 さらに、従来は付加価値が高く、海外への移転が難しいといわれていた管理部門についても海外でマネージすることで人件費を抑えようとする企業戦略が生まれている。 この背景には、受け入れ側となる新興国が外国語大学を創設して、日本語学科を設けるなど、コミュニケーション上の障害が取り払われつつあること。通信手段のグローバル化や経理基準を統一することで海外からでも管理ができる環境が整いつつあることがある。取引先との価格交渉についても海外の現地社員に委ねる企業も出てきている。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
Sponserd by 