VISTA(読み)びすた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「VISTA」の意味・わかりやすい解説

VISTA
びすた

経済成長著しいベトナム(Vietnam)、インドネシア(Indonesia)、南アフリカ共和国(South Africa)、トルコ(Turkey)、アルゼンチン(Argentine)の新興5か国をさす造語。5か国の英語の頭文字をとってVISTAとよばれる。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国をさす造語)に続き、将来の経済成長が期待されるポストBRICs国として、2006年(平成18)11月、経済評論家でBRICs経済研究所代表である門倉貴史(かどくらたかし)(1971― )が提唱した(BRICsは2011年に南アフリカを加えてBRICSと表記されている)。

 VISTA5か国では人口増が続いており、労働力人口が多いほか、消費を牽引(けんいん)する中産階級の人口比率が高いという共通の特徴がある。また石油や鉱物などの天然資源が豊富で、外資の導入にも積極的である。このためVISTAを成長市場と位置づけて進出する外資系企業が増えており、主要国の証券会社はVISTAに関連する株式や国債で運用する金融商品を相次いで発売している。門倉は2050年のVISTAの域内総生産GDP)は2008年に比べ14.4倍に伸びると予測している。

 2000年代に入って、VISTAやBRICS以外にも、成長が期待される新興地域をさす用語として、「NEXT11(ネクストイレブン)」、「MENA(ミーナ)」などが相次いでつくられた。しかし、こうした新興国では、2010年末に始まった反政府民主化運動「アラブの春」に象徴されるように、経済成長や民主化の進展に伴って国情が不安定になるケースがある。

[矢野 武 2015年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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