日本大百科全書(ニッポニカ) 「企業社会監査」の意味・わかりやすい解説
企業社会監査
きぎょうしゃかいかんさ
social audit
企業が自らの社会的責任遂行状況を測定、情報化して社会に開示することにより、社会の評価ないしチェックを受けるようにすること。この構想は1950年代からあったが、公害問題を契機とする社会的責任の高まりに対応し、70年(昭和45)ごろから急速に具体化した。企業社会監査をめぐる問題点は三つある。その第一は社会的責任遂行状況(社会的業績という)をいかに測定するかであり、第二はその情報をいかに開示するか、第三は社会からのチェックをいかに企業行動に取り込むかである。そのうち、最大の難問は第一の測定法であり、企業社会会計、社会責任会計などの名称のもとにさまざまな試案が提起されているが、広く支持を得られるものはできていない。もっとも現実的な方法は、営業報告書などに社会的業績を記述式に盛り込み、広範に配布して反響をまつというものである。
[森本三男]