伊多岐(読み)いたき

日本歴史地名大系 「伊多岐」の解説

伊多岐
いたき

三次みよし郡の南端に位置し、東は世羅郡、南は旧豊田郡と境を接する地で、近世山手やまて五ヵ村あるいは板木いたき五ヵ村とよばれた上下の両板木村・羽出庭はでにわ村・大力谷だいりきだに村・福田ふくだ村の地域を、中世には伊多岐とよんだ。

鎌倉初期三吉みよし(現三次市)へ入った地頭三吉氏の系図(三次町の「国郡志下調書出帳」所収)に鎌倉中期の三代兼家の弟保実を「伊多岐権守」、その子定家を「伊多岐次郎」としており、三吉氏の支配下にあったことをうかがわせる。文明七年(一四七五)吉田よしだ(現高田郡吉田町)の毛利豊元は、西軍の備後国守護山名政豊を助けて東軍側の山名是豊を破り、三吉郡へも領地を拡大する。同年一一月に長子弘元に与えた譲状(毛利家文書)に、「今度依豊元忠節、山名少弼(政豊)殿并備後守(宮田教言)一所ニ相談、同国中弾正忠(山名是豊)追払間、依其忠節、伊多岐、重永、山中、横坂要害事ハ、依一身動切落条、末代知行候へとて、教言 宮教元 山田泰通支証数通拝領候、任此旨、千代寿丸(弘元)可有知行者也」とあり、伊多岐が毛利氏の支配に入ったことが知れる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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