出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
木版印刷を行うために文字や図様を彫刻した板。〈版木〉とも書き,彫板(えりいた),形木(かたぎ)ともいう。木版印刷用の版には板木を用いるものと,木活字を用いるものとがあるが,前者を整版,後者を活版(活字版)と称する。板材としては中国では,ナシ,ナツメのほか,アズサ(梓)を使い(出版を上梓(じようし)というのはこれに由来する),日本ではサクラが最も多く,細密画の場合にはツゲを用いた。また日本の場合,板の面に彫刻する〈板目彫板木〉がほとんどであるが,ヨーロッパでは木口に彫刻する〈木口彫板木〉を用いる。板木は出版する者の重要な財産として土蔵に保存され,乾燥による反り癖を防ぐため両端に添木をするなどのくふうが施されている。その無断複製を〈重板〉,類似の版を〈類板〉と称して江戸時代には厳しく禁止されていた。金属性の活字による活版印刷が19世紀後半に採用されるようになって,板木は急速に用いられなくなった。
→木版画
執筆者:彌吉 光長
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…平安時代後半から鎌倉時代全期にわたって,藤原氏の氏寺(うじでら)である興福寺を中心に奈良の諸大寺で開版(板)された経巻類をさす。〈春日版〉の名は明治以後に唱えられたもので,鎌倉時代初期に藤原氏の氏神である春日神社に奉献されたところから,この名が出たともいわれる。1行17字詰の楷書(かいしよ)を用いて版式を整備し,使用料紙の質がよく,墨色優秀をもって知られる。毎版面の右すみに開版の年代,寺名,願主,施主,彫工などの名が隠刻されているが,普通は印刷のさい刷りこまれない。…
※「板木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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