板木(読み)バンギ

デジタル大辞泉 「板木」の意味・読み・例文・類語

ばん‐ぎ【板木】

合図のためにたたき鳴らす板。寺院集会などの合図、また、江戸時代には火災警報などに用いた。

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精選版 日本国語大辞典 「板木」の意味・読み・例文・類語

ばん‐ぎ【板木・盤木・番木】

  1. 〘 名詞 〙 たたいて合図をするための板。寺院の集会などの合図に用い、また、江戸時代、火事の警報にも用いられた。歌舞伎の下座音楽にも用いられる。
    1. [初出の実例]「出火有之は、板木にて為知可申候」(出典:徳川禁令考‐前集・第三・巻二九・享保八年(1723)八月日)

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日本歴史地名大系 「板木」の解説

板木
いたぎ

[現在地名]茅部郡南茅部町字安浦

天保郷帳にみえる地名で、臼尻うすじり持場。現町域の中央、弁天べんてん島の南東にあたる。海岸部は穏やかな磯と渚が続き、低い山野の地域。享保十二年所附に「一 おさつ辺 板木 かつくミ 臼尻」などが記される。一七八〇年代の「松前国中記」に尾札部場所の小名として「イ(タ)キ」とある。「蝦夷迺天布利」には「イタンギという磯の名あり。そのいにしへ、源九郎義経の水むすび給ひし器の、浪のとりて、こゝに打よせてけるゆへを語れり。イタンギとは飯椀をいふなり。

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改訂新版 世界大百科事典 「板木」の意味・わかりやすい解説

板木 (はんぎ)

木版印刷を行うために文字や図様を彫刻した板。〈版木〉とも書き,彫板(えりいた),形木(かたぎ)ともいう。木版印刷用の版には板木を用いるものと,木活字を用いるものとがあるが,前者を整版,後者活版(活字版)と称する。板材としては中国では,ナシナツメのほか,アズサ(梓)を使い(出版を上梓(じようし)というのはこれに由来する),日本ではサクラが最も多く,細密画の場合にはツゲを用いた。また日本の場合,板の面に彫刻する〈板目彫板木〉がほとんどであるが,ヨーロッパでは木口に彫刻する〈木口彫板木〉を用いる。板木は出版する者の重要な財産として土蔵に保存され,乾燥による反り癖を防ぐため両端に添木をするなどのくふうが施されている。その無断複製を〈重板〉,類似の版を〈類板〉と称して江戸時代には厳しく禁止されていた。金属性の活字による活版印刷が19世紀後半に採用されるようになって,板木は急速に用いられなくなった。
木版画
執筆者:


板木 (ばんぎ)

寺院で用いる鳴物(ならしもの)(楽器)の一種。版木とも書き,〈はんぎ〉ともいう。単に板(版),あるいは木板(版),接版,更版(こうはん)などともいう。厚い堅い材質の木製の板の上辺を隅切りした長方形のもので,上辺2ヵ所にひもをとおして寺院の柱などに吊り,左手で支えつつ丁字形の木槌で中央を打つ。たとえば僧堂版など吊られる場所や目的によって,同じ寺院内でも名称が変わる。ふつう,僧侶の日常的な諸作法の合図として用いられる。また,末寺では玄関に設けて外来者の訪問の便に備えることも多く見られる。
執筆者:

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世界大百科事典(旧版)内の板木の言及

【春日版】より

…平安時代後半から鎌倉時代全期にわたって,藤原氏の氏寺(うじでら)である興福寺を中心に奈良の諸大寺で開版(板)された経巻類をさす。〈春日版〉の名は明治以後に唱えられたもので,鎌倉時代初期に藤原氏の氏神である春日神社に奉献されたところから,この名が出たともいわれる。1行17字詰の楷書(かいしよ)を用いて版式を整備し,使用料紙の質がよく,墨色優秀をもって知られる。毎版面の右すみに開版の年代,寺名,願主,施主,彫工などの名が隠刻されているが,普通は印刷のさい刷りこまれない。…

※「板木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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