伊奘冉尊(読み)いざなみのみこと

朝日日本歴史人物事典 「伊奘冉尊」の解説

伊奘冉尊

日本神話に登場する神。相手を「さあ」と誘うときに発するイザ,助詞「の」にあたるナ,女を意味するミが結合した名称とも,誘う意の動詞イザナフの語幹に女を意味するミが付いた名称とも解釈し得る。『古事記』では伊邪那美命と書かれる。伊奘諾尊の妻に当たる神。『古事記』によると,イザナミは夫のイザナキと共に天から地上へ降りて来て結婚し,多くの島や神を生むが,最後に火の神を生んで陰部を焼かれて絶命し,死者の国である黄泉国へ行く。そして,黄泉国へ自分を連れ戻しにきたイザナキと喧嘩をし,これと別離して「黄泉つ大神」となる。この神が火の神を生んだあとで排泄したものから金属,土,水,食物などの神が生まれたというのは,この神の地母神的な性格を表す。<参考文献>松村武雄『日本神話研究』2巻,岡田精司『古代王権の祭祀と神話』

(佐佐木隆)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊奘冉尊」の解説

伊奘冉尊 いざなみのみこと

記・紀にみえる女神
配偶神の伊奘諾(いざなぎの)尊とともに,高天原(たかまがはら)からくだり,日本の国土と神々を生んだ。「日本書紀」では天照大神(あまてらすおおみかみ)らの母とされる。「古事記」には伊邪那美命とかく。火の神を生んで絶命し黄泉(よみ)の国にいき,追いかけてきた伊邪那岐命(伊奘諾尊)が,「自分をみない」という約束をまもれなかったため争いとなってわかれ,人間の死をつかさどる神になったという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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