精選版 日本国語大辞典 「何処ともなし」の意味・読み・例文・類語
いずく【何処】 とも なし
- ① =いずこ(何処)ともなし①
- [初出の実例]「古郷はいづくともなく忍ぶ草しげき涙の露ぞこぼるる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
- ② =いずこ(何処)ともなし②
- [初出の実例]「五月雨はいささ小川の橋もなしいづくともなくみをに流れて」(出典:六家集本山家集(12C後)上)
- ③ どこからであるかわからない。
いずこ【何処】 とも なし
どこ【何処】 とも なし
- ① はっきりした素姓がわからない。たよりにならない。誰につくかわからない。
- [初出の実例]「下臈はどこともなきものにて、又人にかたらはれて、案内もやおしへんずらん」(出典:平家物語(13C前)一〇)
- ② どこと、はっきり定まった所がない。出どころが確かではない。
- [初出の実例]「又談空とは虚空なとこともないとめはずあわぬことを云をも云たぞ」(出典:玉塵抄(1563)三)