精選版 日本国語大辞典 「何処ともなし」の意味・読み・例文・類語
いずく【何処】 とも なし
① =いずこ(何処)ともなし①
※宇津保(970‐999頃)楼上上「古郷はいづくともなく忍ぶ草しげき涙の露ぞこぼるる」
② =いずこ(何処)ともなし②
※六家集本山家集(12C後)上「五月雨はいささ小川の橋もなしいづくともなくみをに流れて」
③ どこからであるかわからない。
いずこ【何処】 とも なし
① どこへというあてもない。
※貫之集(945頃)六「山びこの声のまにまに尋ね行かばいづこともなく我や惑はむ」
② どこというはっきりした所もなく、ぼんやりとしている。
※更級日記(1059頃)「あはれに、人離れて、いづこともなくておはする仏かなと、うち見やりて過ぎぬ」
どこ【何処】 とも なし
① はっきりした素姓がわからない。たよりにならない。誰につくかわからない。
※平家(13C前)一〇「下臈はどこともなきものにて、又人にかたらはれて、案内もやおしへんずらん」
② どこと、はっきり定まった所がない。出どころが確かではない。
※玉塵抄(1563)三「又談空とは虚空なとこともないとめはずあわぬことを云をも云たぞ」
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