歌集。平安中期の異色歌人として知られ,丹後掾の卑官であったために〈曾丹〉と略称された曾禰好忠の家集。1巻。他撰。《曾禰好忠集》とも。平安末期までには成立か。歌数は流布本で計586首。内容は定数歌(あらかじめ一定の歌数を決めておいて詠歌するもの)の集成によって構成され,毎月集(和歌360首)368首,好忠百首102首,つらね歌13首,源順百首100首,後人の補遺3首。毎月集は1日1首の割で360首を配列し,それを四季,月,旬に区切り,季ごとに長歌と反歌をすえた新形式。全体として好忠の1年間にわたる不遇生活のわびしさが底流となる。好忠百首は好忠によって創出された百首歌の原形といえるもので,序のあと,春11首(流布本),夏,秋,冬,恋各10首,沓冠(くつかむり)歌31首,物名歌20首で構成され,独特な哀感を形成して以後の流行につながった。源順百首は順が応和したもの。つらね歌はしり取り式に詠み継ぐ連作で,好忠は人々に嘲笑された嘆きを言語遊戯のこの形式にうたい込めた。
執筆者:藤岡 忠美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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