価値相対主義(読み)かちそうたいしゅぎ(英語表記)value relativism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価値相対主義」の意味・わかりやすい解説

価値相対主義
かちそうたいしゅぎ
value relativism

価値は各人の感情,意欲信念に依存する相対的なものであるとする主張。善,正義などの価値あるいは価値基準が客観的に実在し,認識されうるとする価値絶対主義ないし価値客観主義に対する。価値主観主義ともいう。古代ギリシアのソフィスト以来さまざまな形態をとってきたが,近年では,M.ウェーバー,G.ラートブルフ,H.ケルゼンらが名高い。この近年の価値相対主義は存在と当為・価値を峻別する新カント主義的な方法二元論に主たる基礎をおくが,実質的には価値情緒説に接近する。なお,ラートブルフやケルゼンは,価値相対主義によって民主制を理論的に基礎づけている。

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世界大百科事典(旧版)内の価値相対主義の言及

【法哲学】より

…現代においても,新トマス主義の自然法論は多くの論者によって支持されている。
[主観説]
 正義論上の客観主義に対立する主観主義は,すでに紀元前5世紀の若干のソフィストに見られたところであるが,この立場は,20世紀初頭以来,〈価値相対主義〉という形で主張されてきた。この考え方によれば,あることの善悪・正邪についての評価を表す文は,経験的な真理または数学的・論理学的な真理を表す文とは異なって,〈判断〉を表す命題ではない――または〈真理値〉をもたない――と考えられる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」