修多羅供銭(読み)すたらぐせん

改訂新版 世界大百科事典 「修多羅供銭」の意味・わかりやすい解説

修多羅供銭 (すたらぐせん)

〈しゅたらぐせん〉ともよみ,修多羅衆銭ともいう。奈良時代の南都諸大寺において,《大小乗一切経律論疏》を転読講説する修多羅供,およびそれに従事する修多羅衆の予算。大安寺では寺の全予算額の28%近くに達しており,その規模がうかがわれる。修多羅衆には毎年一定期日に大規模な転読講説を行う大修多羅衆と,毎日平常の転読講説を行う常修多羅衆があった。さらにその中には,東大寺大修多羅衆のごとく749年(天平勝宝1)の詔によって設置されたものと,大安寺・弘福寺の両衆のごとく奈良初期から存在したものがあった。その運営には各寺の衆ごとに大学頭・少学頭・維那という三役が選ばれて当たった。修多羅衆は本来は不特定の一切経論を転読講説する衆であったが,しだいに寺によって対象とする経論に特色が出てくるようになった。しかしそれも奈良末期から平安初期になって仏教界の宗派分化が進み,また国家仏事において平安新仏教が期待を集めるとともに,その存在意義を急速に低下させるに至った。
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世界大百科事典(旧版)内の修多羅供銭の言及

【修多羅供銭】より

…〈しゅたらぐせん〉ともよみ,修多羅衆銭ともいう。奈良時代の南都諸大寺において,《大小乗一切経律論疏》を転読講説する修多羅供,およびそれに従事する修多羅衆の予算。大安寺では寺の全予算額の28%近くに達しており,その規模がうかがわれる。修多羅衆には毎年一定期日に大規模な転読講説を行う大修多羅衆と,毎日平常の転読講説を行う常修多羅衆があった。さらにその中には,東大寺大修多羅衆のごとく749年(天平勝宝1)の詔によって設置されたものと,大安寺・弘福寺の両衆のごとく奈良初期から存在したものがあった。…

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