偃す(読み)ノエフス

デジタル大辞泉 「偃す」の意味・読み・例文・類語

のえ‐ふ・す【×偃す】

[動サ四]《「のいふす」の音変化》
風になびく。
「草に風を加ふる時は―・さずといふ事なし」〈太平記・八〉
ひれ伏す。平伏する。付き従う。のいふす。
「我が神国あまの村雲百王護国の御守り、―・す民こそめでたけれ」〈浄・嫗山姥

のい‐ふ・す【×偃す】

[動サ四]《「のきふす」の音変化》あおむけに寝る。倒れ伏す。
「門をだにささで、やすらかに―・したれば」〈大鏡・道長上〉

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精選版 日本国語大辞典 「偃す」の意味・読み・例文・類語

のい‐ふ・す【偃・偃臥】

  1. 〘 自動詞 サ行四段活用 〙 ( 「のきふす(偃)」の変化した語 ) 倒れ伏す。あおむけになって寝る。
    1. [初出の実例]「おきならがいやしきやどりも、帯・ひもをとき、門をだにささで、やすらかにのいふしたれば」(出典:大鏡(12C前)五)

偃すの語誌

「高山寺本名義抄」には、「偃 ノイフス」の「イ」の右傍に「キ」とみえ、「観智院本名義抄」には、「偃 ノイフス ノク〈略〉偃臥 ノイフセリ」とある。これらによって、「のく(仰・偃)」に「ふす(臥)」が付き、「のきふす」から「のいふす」と音便化した語であることが推定できる。


のえ‐ふ・す【偃】

  1. 〘 自動詞 サ行四段活用 〙 なびく。また、ひれ伏す。平伏する。
    1. [初出の実例]「君子の徳は風也。小人の徳は草也。草に風を加ふる時は偃(ノエフサ)ずと云ふ事なし」(出典:太平記(14C後)八)

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