コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

君子 くんしjun-zi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

君子
くんし
jun-zi

中国で用いられた理想的人格の称。その起源は明確でないが,『詩経』の用例から推定すれば,周代には,族長または貴族の青年で,祭礼に神聖な役割をする者をさし,したがって最も好ましい人物とされ,またひいては治民階級の人をさすようになった。古代の儒家は,その賢人政治の主張を象徴する人物を君子とし,円満完全な聖人に次いで,学徳がそなわり,人民の模範となって指導するものと考え,君子を学問修養の目標とした。こののち君子は一般に貴人に対する尊称となったが,一部には揶揄的な称呼としても用いられた。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

くん‐し【君子】

学識・人格ともにすぐれた、りっぱな人。人格者。「聖人君子
高位・高官の人。
東洋画の画題としての、蘭(らん)のこと。四君子(しくんし)。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

くんし【君子 jūn zǐ】

学識,人格ともにすぐれた,道徳的にりっぱな人物。原義は,一般民衆よりも上位にあって,治政の立場に足る人の称。在位の身分ある為政者をさす。〈野人(やじん)〉あるいは〈小人(しようじん)〉の対。とくに政権の主宰者,首長を〈君主〉ともいい,領土と臣民を保有する主権者の〈国君〉,臣下にたいする〈君王,主君〉をもさす。中国古代にあって,貴族階層の男性,“おっと”への敬称,君子偕老(かいろう)の〈君子〉など,のちの第二人称の〈君(くん)〉〈卿(けい)〉にあたる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

くんし【君子】

学識・人格ともに優れ、徳行のそなわった人。 「聖人-」
身分・官位の高い人。
画題としての、梅・竹・蘭らん・菊のこと。四君子。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

君子
くんし

中国において人間類型を示す語。最古の歌謡『詩経』にみえるこの語は種々の意味を示す。(1)身分の高い人。「君子の依(よ)る所。小人の腓(したが)う所」(馬車についていう。采薇(さいび))。(2)夫または夫となるべき男。「君子于(ここ)に役す」(君子于役(うえき))。「未(いま)だ君子を見ず」(草蟲(そうちゅう))。(3)徳の高い人。「斐(ひ)たる君子有り」(淇奥(きいく))。(1)(3)の用法では「小人」に対する。孔子も(1)(3)両義に用いる。「君子の徳は風。小人の徳は草。草これに風を上(くわ)うれば、必ず偃(ふ)す」(『論語』顔淵(がんえん)(へん))の場合、君子は為政者。「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」(里仁(りじん)篇)というときは有徳者の意味。そして「君子は器ならず」(為政篇)というとおり、幅広い教養人。職人でない。[本田 濟]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の君子の言及

【逸民】より

…聖天子の尭に招かれても,これをけがらわしいとした許由(きよゆう)や,周の武王の治世でもその粟をくらわなかった伯夷(はくい)・叔斉(しゆくせい)などが,その典型とされる。生活態度は道家に近いが,儒家でも《論語》には〈邦に道なければ〉隠遁する人を〈君子〉として評価しており,民の声を示す暗黙の批判者として逸民を容認し尊重することが,為政者の務めとされる。3世紀に《高士伝》が出はじめ,《後漢書》の〈逸民列伝〉以後ほとんどの正史に隠逸,高逸,逸士などの列伝があるのは,そのころに逸民に対する評価が確立し,以後の中国社会に容認されたことを示す。…

【タケ(竹)】より

…タケの地下茎の広がりを止めるには,ビニル板の類をすきまなく土中深さ約80cmまで埋めこめばよい。【上田 弘一郎】
【タケと人間】

[中国]
 竹は節目正しく,まっすぐに生長し,冬にも青々としていることから,俗気のない君子の植物とされ,此君(しくん),君子,抱節君,処士などの異名をもつ。唐画では,梅,蘭,菊とともに〈四君子〉と称され,気品ある植物としてしばしば画材とされてきた。…

※「君子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

君子の関連情報