傍痛い（読み）かたわらいたい

精選版 日本国語大辞典

かたわら‐いた・いかたはら‥【傍痛】

1. 〘 形容詞口語形活用 〙
   [ 文語形 ]かたはらいた・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 傍(かたわら)で見ていても心が痛む、の意 )
2. ① そばで見ていてもつらく思う。見ていて気がもめる。はたから見ていてはらはらする。気の毒に思う。心苦しい。申しわけない。恐縮である。片腹(かたはら)痛い。
   1. [初出の実例]「日ごろ乱れがはしかりつる所々をさへ、こほこほと作るを見るに、いとかたわらいたく思ひくらすに」(出典：蜻蛉日記（974頃）中)
   2. 「すのこはかたわらいたければ、南のひさしに入れ奉る」(出典：源氏物語（1001‐14頃）朝顔)
3. ② そばで見ていて苦々しく思う。はたから見ていて滑稽に感じる。笑止である。見てはいられない。「片腹痛い」と書くことがある。→片腹痛い。
   1. [初出の実例]「かたはらいたきもの。よくも音(ね)弾きとどめぬ琴を、よくも調べで、心のかぎり弾きたてたる」(出典：枕草子（１０Ｃ終）九六)
   2. 「すべて、いとも知らぬ道の物語したる、かたはらいたく、聞きにくし」(出典：徒然草（1331頃）五七)
4. ③ そばの人に対して気がひける。人に笑われそうで恥ずかしい。きまりが悪い。体裁が悪い。
   1. [初出の実例]「人おほうまうでたり。たれと知るべきにもあらなくに、われひとり苦しうかたはらいたし」(出典：蜻蛉日記（974頃）下)

傍痛いの派生語

かたわらいた‐が・る

1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

傍痛いの派生語

かたわらいた‐げ

1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

傍痛いの派生語

かたわらいた‐さ

1. 〘 名詞 〙

出典　精選版 日本国語大辞典