普及版 字通 「僉」の読み・字形・画数・意味
僉
13画
[字訓] みな・ともに
[説文解字]
[字形] 会意
(しゆう)+(こん)。は令・命の字の上部と同じく、神事に従うものが用いる礼冠の形。神に接するときに用いた。は二兄の形。兄は祝告の器((さい))を捧げて祈る人。二人相並んで祈る。ゆえに「みな」「ともに」の意となる。〔説文〕五下に「皆なり。に從ひ、(けん)に從ひ、从(しよう)に從ふ」とするが、兄の字形を上下に分つべきでない。一人祝して神意を待つを令といい、その神託を命といい、二人相祝するを僉といい、二人舞踏して神意を楽しませることを(巽)(そん)・(選)という。
[訓義]
1. みな、ともに、ことごとく。
2. えらぶ、えらびとる。
3. おおい、おびただしい、すぎる。
4. からさお。連架して穀をうつもの。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕僉 ミナ・オナジ・コトゴトク 〔字鏡集〕僉 コトゴトク・アマネシ・ミナ・オナジ・ミル・シク・ミナフ
[声系]
〔説文〕に僉声として・劒・檢(検)・儉(倹)・驗(験)・險(険)など十七字を収める。古劒銘に、僉を劒の意に用いる。(せん)は〔説文〕三上に「問ふなり」と訓し、神意を問う意の字である。
[語系]
僉tsiam、占tjiamは声近く、占は卜占によって、僉は祝によって神意を問うことをいう。またsun、siuan、dzhianは舞楽して神を楽しませる意で、ほぼ同系の語とみられる。
[熟語]
僉押▶・僉議▶・僉載▶・僉事▶・僉属▶・僉簿▶・僉望▶・僉謀▶・僉名▶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報