先例拘束性(読み)せんれいこうそくせい(その他表記)stare decisis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「先例拘束性」の意味・わかりやすい解説

先例拘束性
せんれいこうそくせい
stare decisis

ある判決で示された法理がのちの判決で踏襲されていく場合,この判決はのちの判決に対して先例としての拘束性をもっているという。厳密な意味の先例拘束性とはこれをいう。議会立法と同程度に裁判所の判決 (非制定法) すなわちコモン・ローが法を形成してきたイギリス,アメリカなどの判例法国では,いわゆるこの先例拘束性の大原則が認容され,判決が一つの法源として作用している。日本では法律上これを認めていないが,議会や行政府また裁判所の訴訟手続上の実務において,先例によって事案を決定する慣行がある。したがってイギリス,アメリカのような諸国における法の大原則の一つとしてばかりでなく,多くの諸国においても,先例は実際上大きな支配力をもつ規範として作用している。

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