せん‐れい【先例】
〘名〙
① まえにあった例。以前にあった同じような例。
前例。
② 以前からの
慣例。以前からの例式。まえからの
しきたり。前例。
※続日本紀‐天平元年(729)一一月丁未「太政官処分、〈略〉及武官解任者、先例並属二式部一」
※浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)一「自今興福寺の太鞁に極め、先例
(センレイ)の通り、置所は
東大寺にあづけ」
※ニッポン日記(1951)〈井本威夫訳〉一九四六年三月二六日「仕方がありませんからこれにお乗り下さって結構です。ただこれを、先例になさらぬように願います」
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デジタル大辞泉
「先例」の意味・読み・例文・類語
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普及版 字通
「先例」の読み・字形・画数・意味
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せんれい【先例】
一般に前近代社会では,人々のあらゆる行為の規範として先例が重視され,それを逸脱した行為に対して法的・社会的制裁が存在した。とくに法や制度と社会の現実との乖離(かいり)が増大した中世では,先例のもつ意味は大きく,史料には〈先例に任せて〉の文字が充満し,多くの故実書がつくられた。たしかに一つの事実が先例として主張されればそれを無視することはできない。しかし忘れてならないのは,ある行為の規範となるべき先例は,多くの場合個人的な探索によって発見されるもので,別の探索ではこれと矛盾する先例が発見される可能性が大きい。
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先例
せんれい
前例とも。以前からの慣例,しきたり。古代~中世には無条件で守られるべきものと認識され,先例を破ることは新儀(しんぎ)とよばれて非難の対象となった。権利を保障する文書などでは,「先例に任せ」というかたちで用いられることが多い。鎌倉幕府の基本法である「御成敗式目」は,先例を重視して作成された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報