改訂新版 世界大百科事典 「光度関数」の意味・わかりやすい解説
光度関数 (こうどかんすう)
luminosity function
宇宙空間の単位体積に存在する天体について,その絶対光度等級がMとM+dMとの間にある天体の数をf(M)dMとする。この場合にf(M)を光度関数という。散開星団や球状星団の光度関数は,銀河系空間で恒星が生まれる機構について研究するときに用いられ,銀河系の一般星野の恒星の光度関数は,恒星の銀河系空間における空間密度分布を推定する際に用いられる。銀河団の銀河の光度関数は,銀河の生成の機構を研究する際に有用である。電波源についても,宇宙空間の単位体積に,それぞれの桁数の表面輝度を示す天体がいくつずつあるかを表示するために光度関数が用いられる。光度関数はなるべく直接的に観測できる量を変数に用いるという考えで,絶対光度等級を用いているが,これはある特定の波長域における放射エネルギーを表しているに過ぎない。変数を天体の総放射エネルギー,あるいは総質量に変換すると,この関数はさらに有用になる。このように変数を光度から質量に変換した関数を質量関数という。
執筆者:石田 蕙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報