全身性アミロイドーシス(読み)ゼンシンセイアミロイドーシス(その他表記)Systemic amyloidosis

デジタル大辞泉 「全身性アミロイドーシス」の意味・読み・例文・類語

ぜんしんせい‐アミロイドーシス【全身性アミロイドーシス】

アミロイドという線維構造をもつたんぱく質臓器に沈着し、機能障害を引き起こすアミロイドーシスうち全身の臓器にアミロイドが沈着する疾患総称指定難病一つ。→限局性アミロイドーシス

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六訂版 家庭医学大全科 「全身性アミロイドーシス」の解説

全身性アミロイドーシス
ぜんしんせいアミロイドーシス
Systemic amyloidosis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 いろいろな蛋白質がアミロイド線維(せんい)(分枝しない線維状で、水に極めて不溶)として全身組織に沈着し、さまざまな障害を引き起こす疾患です。

原因は何か

 以下に、沈着するアミロイド成分による分類を示します。

①免疫グロブリン性アミロイドーシス(免疫グロブリンL()が沈着)

a.原発性全身性アミロイドーシス

b.骨髄腫(こつずいしゅ)に伴うもの

②反応性(続発性)

 慢性活動性疾患に伴うもの。SAA(血漿アミロイドA蛋白)が沈着。

③家族性アミロイドーシス

 家族性アミロイド性多発神経障害など。異常トランスサイレチンなどが沈着。

透析アミロイドーシス(β2­ミクログロブリンが沈着)

⑤老人性アミロイドーシス(トランスサイレチンが沈着)

症状の現れ方

 乳白色から黄色の蝋様(ろうよう)丘疹(きゅうしん)眼瞼(がんけん)、首、外陰部(がいいんぶ)にできます。また、紫斑(しはん)(眼瞼に)、結節、局面(盛り上がった紅斑)、強皮症様硬化(きょうひしょうようこうか)色素沈着、脱毛など、さまざまな形態で現れます。

 皮膚以外の症状としては、倦怠感(けんたいかん)、起立性低血圧、しわがれ声、爪の変形、巨舌(きょぜつ)肝肥大(かんひだい)浮腫(むくみ)などがあります。とくに、手根管(しゅこんかん)症候群が他の症状と併せてみられる時は、アミロイドーシスが疑われます。

検査と診断

 組織検査では、コンゴーレッド染色で赤色、緑色偏光を示すことが特徴的です。ダイロン染色で赤橙色、チオフラビンTで黄色蛍光(けいこう)を示します。電子顕微鏡で、アミロイド線維が証明されます。直腸粘膜、皮下脂肪の生検(組織をとって調べる)によるアミロイドの特定が必要です。

 免疫グロブリン性アミロイドーシスの場合は、血中免疫グロブリンの増加、尿蛋白陽性になり、骨髄腫(こつずいしゅ)の検索が必要です。区別すべき疾患には、血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)壊血病(かいけつびょう)甲状腺機能低下症環状肉芽腫(かんじょうにくげしゅ)サルコイドーシス、リンフォーマ、黄色腫(おうしょくしゅ)脂肪類壊死症(しぼうるいえししょう)があります。

治療の方法

 原発性アミロイドーシスの患者さんの平均余命は13カ月といわれ、骨髄腫に伴うアミロイドーシスではより短いとされています。心臓腎臓にアミロイド沈着による障害を来した場合、予後はとくによくありません。

 心、腎不全に対する対症療法を行います。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科内科を受診します。

宇谷 厚志

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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