指定難病(読み)シテイナンビョウ

デジタル大辞泉 「指定難病」の意味・読み・例文・類語

してい‐なんびょう〔‐ナンビヤウ〕【指定難病】

難病医療法に基づいて厚生労働大臣が指定する疾患原因が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病で、長期療養を必要とする難病うち、患者数が人口の0.1パーセント程度以下で、客観的な指標による一定基準が定まっているもの。国が医療費助成する。

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共同通信ニュース用語解説 「指定難病」の解説

指定難病

発病の仕組みが不明で治療法が確立しておらず、患者数が人口の0・1%程度未満で、客観的な診断基準があるなどの要件を満たす疾患。難病医療法に基づき厚生労働省が指定する。現在は、潰瘍性大腸炎筋萎縮性側索硬化症(ALS)など338疾患あり、国の統計によると、医療費助成の対象患者は2020年度に約103万人だった。子どもの難病「小児慢性特定疾病」の支援児童福祉法で定めている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「指定難病」の意味・わかりやすい解説

指定難病
していなんびょう

治療が困難で慢性の経過をたどる疾患のうち、2015年(平成27)施行の「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)で医療費助成の対象となった疾患。2021年(令和3)11月現在、338疾患が指定されており、パーキンソン病潰瘍(かいよう)性大腸炎、全身性エリテマトーデス、クローン病、後縦靭帯(こうじゅうじんたい)骨化症など患者が数万人以上いる疾患から数人しかいない遺伝性疾患まで、多岐にわたる。

 国内の難病対策は1973年(昭和48)に始まる。政府は原因不明で治療方法が確立されていない56疾患を特定疾患治療研究事業の「特定疾患」と位置づけ、医療費を助成した。報道などでこれらを指定難病とよぶケースがあるが、厳密には異なる。

 かつての難病対策は、治療法開発のために患者の医療費を国が肩代わりするという形だった。難病法制定は難病対策を恒久的な社会保障制度に位置づける転換点となった。同法施行に際し、厚生労働省は難病の定義を、(1)発病の機構が不明、(2)治療法が未確立、(3)希少、(4)長期の療養が必要、の4条件を満たす疾患と整理し、さらに指定難病には、(5)患者数が国内人口の0.1%程度未満、(6)客観的な診断基準が成立している、という2条件を加えた。対象となる疾患は厚生労働省厚生科学審議会指定難病検討委員会で適宜検討され、当初の110から5度にわたって追加され、現在に至る。対象拡大の一方で、実質無料だった重症患者にも自己負担が発生し、軽症患者が助成対象から外れるなどの弊害も起きた。また医療の進歩で難病患者の長命化が進み、関連予算の増加が続いている。

 現在、難病の新規診断は難病指定医だけができる。指定難病はそれぞれの診断基準と重症度分類が決まっており、難病指定医の判定に応じて、助成が受けられるかどうかが決まる。患者情報はデータベースに登録され、治療法開発に役だてられる。

[高野 聡 2023年1月19日]

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