知恵蔵 「全雌魚生産」の解説 全雌魚(しぎょ)生産 雌の魚だけを生産すること。魚の性別も性染色体によって決まり、細胞がXXの組み合わせの性染色体をもつと雌になり、XYでは雄になる。雄の精子に紫外線を照射して性染色体の機能をなくし、この精子と卵子とを受精させ、受精卵に高圧をかけると、XXの雌(雌性発生2倍体)だけが得られる。雌性発生2倍体の稚魚に雄性ホルモン処理を行うと、性転換が起こり、性染色体はXXだが雄の生殖機能を持った成魚となる。この性転換雄の精子はすべてX染色体だけを持つので、普通の雌と交配させると、子はすべてXXの雌になる。この手法で何百万匹という単位で雌だけを生産でき、ギンザケ、ニジマス、ヒラメなどで実用化されている。また類似する方法によってクローン魚も作出できる。 (川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by