国指定史跡ガイド 「八幡林官衙遺跡」の解説
はちまんばやしかんがいせき【八幡林官衙遺跡】
新潟県長岡市島崎にある官衙跡。信濃川の支流、島崎川流域の谷に突き出た低い丘陵上とそれを取り巻く低地に所在する。1990年(平成2)に発掘調査が行われた結果、郡符木簡や「沼垂城(ぬたりのき)」と記された木簡が出土し、1991年(平成3)からの調査では、木簡や墨書(ぼくしょ)土器など数多くの文字資料が確認された。この墨書土器は9世紀ごろ、この遺跡が古志(こし)郡衙の郡庁の一角ないし「大領(たいりょう)」の館だったことを意味している。他の墨書土器からも、古代北陸道の駅家(うまや)が遺跡付近にあり、この遺跡が国府の出先機関や駅家などが併設された複合的な官衙であることも明らかになり、当時の行政事務を知るうえで重要とされ、1995年(平成7)に国の史跡に指定された。JR越後線小島谷駅から徒歩約20分。