八重山(読み)ヤエヤマ

デジタル大辞泉 「八重山」の意味・読み・例文・類語

やえ‐やま〔やへ‐〕【八重山】

幾重にも重なり合っている山々。
「足柄の―越えていましなば誰をか君と見つつしのはむ」〈・四四四〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「八重山」の意味・読み・例文・類語

やえ‐やまやへ‥【八重山】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 幾重にも重なっている山。
    1. [初出の実例]「足柄の夜敞也麻(ヤヘヤマ)越えていましなば誰をか君と見つつ偲はむ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四四〇)
  2. [ 2 ] 沖縄県南西部、八重山諸島大部分を占める郡。西表(いりおもて)与那国などの島々が含まれる。

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日本歴史地名大系 「八重山」の解説

八重山
やいま

石垣島・西表いりおもて島の二大島と周辺の竹富たけとみ島・鳩間はとま島・小浜こはま島・くろ島・新城あらぐすく島・波照間はてるま島および与那国島などの有人島からなり、「八重山島」とも総称された。方音ではヤイマまたはダーマといい、沖縄島ではエーマとよぶ。嘉靖二五年(一五四六)一二月三〇日の添継御門之南之碑文(金石文)に「やへま」、慶長一六年(一六一一)の樺山久高外四名連署琉球納物目録(旧記雑録)に「やえま」、両島絵図帳に「八重山やえましま」とある。古くは宮古・八重山を太平山たいへいざんと総称していたとみられ、オヤケアカハチ事件について触れた正徳四年(一五〇九)の百浦添欄干之銘(琉球国碑文記)には「当西南有国、名曰太平山、弘治庚申春、遣戦艦一百艘攻之」とある。康熙二二年(一六八三)尚貞王の冊封正使として来琉した汪楫の「使琉球雑録」には「太平山亦名八重山島、国人呼為爺馬」とあるが、その後太平山の名は宮古に固定され、八重山は北木山ほくぼくざんと称されるようになる。程順則「指南広義」に「北木山即八重山島」、徐葆光「中山伝信録」に「八重山 一名北木山、土名彝師加紀、又名爺馬」とあり、八重山島蔵元には「北木山」の扁額が掲げられていた(蔡大鼎「山游草」)

〔先史時代から古琉球へ〕

琉球諸島の最南端に位置するため、宮古とともに九州の縄文・弥生文化の影響を受けた形跡がなく、シャコガイ製貝斧の出土にみられるように、フィリピンなど東南アジアの文化の影響が大きいと考えられている。そのため先史時代の時期区分には先島編年が用いられ、約四〇〇〇―二五〇〇年前の先島先史時代前期と、二五〇〇―一一〇〇年前の同後期に区分されている。前期では半磨製石斧が盛んに用いられ、下田原式土器とよばれる牛角状把手をもつ厚手の無文土器が登場する。後期になると突然それまでの土器を捨て、無土器の時代となる。調理には石蒸の方法がとられ、貝斧が多く出土するが、前期文化と後期文化の関係については、連続したものか別の文化であるのか結論が出ていない。一二世紀頃から大規模な集落跡やグスク遺跡が高台や丘陵に形成されるようになる。この頃の遺跡からは多数の中国製陶磁器が出土しており、海外貿易が盛んに行われていたことがわかる。

「続日本紀」和銅七年(七一四)一二月五日条に南島の「信覚」が朝貢したことがみえ、信覚をシガキと読んで石垣島とする説がある。成宗八年(一四七七)朝鮮済州島の船が与那国島沖で難破し、与那国島民に救助されたのち、西表島・波照間島・新城島・黒島と島伝いに沖縄島に送られ、本国に送還された(「李朝実録」同一〇年条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の八重山の言及

【八重山地震津波】より

…1771年4月24日(明和8年3月10日)午前8時ころ,〈石垣島付近東南東数十粁の処を東北東西南西に走る線〉を震源地とし,マグニチュード7.4の地震が発生した。その結果,まもなく未曾有の大津波が八重山・宮古両列島(現,沖縄県)の島々村々を襲った。津波の被害が甚大で,〈明和の大津波〉とも呼ばれる。…

【琉球処分】より

…一方中国も,武力行使も辞さないという態度をちらつかせながら処分の撤回を明治政府に求めたので,政府はやむなく外交折衝を通じて中国との間に妥協点を見いだすことになった。琉球を二分し,宮古,八重山の両諸島を中国に与えるかわりに,その代償として中国内で欧米なみの通商権を得ようとする案(分島・増約案)が翌80年に提示され,両国間でひとまず合意に達した。だが中国側が自国に不利とみて最終的に批准を回避したため流産となった(分島問題)。…

※「八重山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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