日本大百科全書(ニッポニカ) 「共生菌」の意味・わかりやすい解説
共生菌
きょうせいきん
他の生物と一体となって共同生活をする菌をいう。すべての植物、動物は直接と間接とを問わず、菌類と共同して生活する。動物は消化管の中に菌類を主体とする微生物を抱え、これらと共生的なかかわりをもちながら生活をしているわけである。おもに細菌からなる腸内菌類がその例である。植物も菌類とさまざまなかかわり合いのもとに共生的生活をする。もっとも端的な例は地衣類である。地衣類は、主として子嚢(しのう)菌類に属する菌類が緑藻類または藍藻(らんそう)類を抱え込み、両者が緊密に結合した一体となって生活する独特の共同体生物である。
シダおよび種子植物はカビ型またはキノコ系の菌類と菌根をつくる。植物の根は共生する菌によって病原菌の攻撃から守られ、栄養吸収の面では助けられながら菌と共生している。菌根には外生菌根と内生菌根があり、外生はキノコ類、内生はカビ型の菌によってつくられ、ほとんどすべての植物はそのいずれかの菌根をもつといわれる。このほか、マメ科植物の根粒は細菌のリゾビウムRhizobium、ハンノキ属・グミ属その他の非マメ科植物の根粒は放線菌でつくられる。
[今関六也]