内閣の権能(読み)ないかくのけんのう

知恵蔵 「内閣の権能」の解説

内閣の権能

内閣は、行政権の主体として行政の執行に当たることはいうまでもないが、国会との関連において、天皇国事行為である衆議院解散への助言承認を通じて、衆議院の解散権を持つ。内閣は常態的には、法律案と予算の作成と国会への提出権限を持っている。条約の締結権は内閣にあるが、批准の案件を国会に提出し承認を受けなくてはならない。法律案の作成と国会への提出権限は国会議員にもある(議員提出法案)が、予算の作成権限は内閣のみに与えられている。内閣の作成する予算には、行政府の予算だけではなく、国会、裁判所、会計検査院や人事院のような高度に独立性の高い行政機関、さらに設置法で国会の承認が必要と規定されている政府関係機関(特殊法人)の予算が含まれており、予算統制上、内閣の持つ権限は極めて強大である。また内閣は法律の具体的執行基準である政令を定めることができる。政令は内閣への委任立法で、国会の承認を必要としない。同様に、条約に基づく外国政府との行政協定についても、国会の承認は必要とされないとの最高裁判例がある。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内閣の権能」の意味・わかりやすい解説

内閣の権能
ないかくのけんのう

内閣は国の行政執行の最高機関であり,国会に対して連帯して責任を負う代りに,天皇の国事行為への助言と承認という形ながら衆議院の解散権をもつ。法律案と予算案の作成および国会への提出権をもち,このことが内閣の権力を実質的に絶大なものにしている。

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