分別沈殿(読み)ブンベツチンデン

デジタル大辞泉 「分別沈殿」の意味・読み・例文・類語

ぶんべつ‐ちんでん【分別沈殿】

2種類以上の成分を含む混合溶液に、各溶質の溶解度の差を生じさせる沈殿剤を加え、各成分を分離・精製する方法。互いに化学的性質がよく似た希土類元素の分離などに利用される。

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化学辞典 第2版 「分別沈殿」の解説

分別沈殿
ブンベツチンデン
fractional precipitation

2種類,あるいはそれ以上の成分が共存している溶液に,それらをともに沈殿させることのできる沈殿剤を加え,沈殿物溶解度の差を利用して,それらを別々に沈殿させること.たとえば,Cl と I を含む溶液に Ag を加えると,まずAgIが沈殿し,I がほとんどなくなると,AgClが沈殿する.さらに,温度,pH,イオン強度溶媒など,沈殿生成時の条件を変化させて分別沈殿を行う.たとえば,重合度の異なる高分子物質の分離には,試料を適当な溶媒に溶解し,適当な沈殿剤を加え,温度を変化させて相分離を起こさせる.このような操作を繰り返し,分子量の異なった高分子物質を区分けする.

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世界大百科事典(旧版)内の分別沈殿の言及

【分別結晶】より

…この方法は,イオン交換などのようなクロマトグラフィーと似た操作に比べて,操作を多数回くり返す点ではなはだ手数がかかるが,大量の物質を処理できる点で有利な精製法といえよう。難溶性塩の生成を利用する分別結晶の操作はとくに〈分別沈殿〉とよぶ。そのほか,固溶体とその融成物との間における固液両相の分配の差異を利用して,これに同じ方法を適用する分別結晶も行われる。…

※「分別沈殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」